探求 論理国語 付属教材・資料見本
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教材に関する標準的なレベルの設問例をご用意いたしました。データは〈一太郎・ワード・PDF〉の三つの形式でご用意しています。標準問題】次の文章を読んで、後の問いに答えよ。(配点ごはんから顔を上げて婆さんが言う。「おつゆが冷めますよ。」わしはうなずいてお椀をすすった。小さな手鞠麩が、唇にやわらかい。昔、婆さんも手鞠麩のようにやわらかい娘だった。手鞠麩のようにやわらかくて、玉子焼きのようにやさしい味がした。うふふ、と恥ずかしそうに婆さんが笑うので、①わしは心の中を見透かされたようで「なぜ笑う。」③ぶっきらぼうに聞くと、婆さんは首を少し傾けて、お爺さんだって昔こんなふうでしたよ、と言いながら、箸で浅漬けのきゅうりをつまむ。婆さんはこの頃、わしが口に出さんことまでみんな見抜きよる。ふいに、わしは④妙なことに気がついた。婆さんがaユカタを着ているのだ。白地にb桔梗を染め抜いた、いかにも涼し気なやつだ。「おまえ、いくら何でもユカタは早くないか。」わしが言うと婆さんは穏やかに首を振り、目を細めて濡れcエンづたいに庭を見た。「こんなにいいお天気ですから大丈夫ですよ。」確かに、庭はうらうらと暖かそうだった。「飯が済んだら散歩にでも行くか。dドテの桜がちょうど見頃じゃろう。」婆さんは、⑤ころころとうれしそうに声を立てて笑う。「昨日もおとついもそうおっしゃって、昨日もおとついも出かけましたよ。」ふむ。そう言われればそんな気もして、わしは黙った。そうか、昨日もおとといも散歩をしたか。婆さんは、まだ⑥くつくつ笑っている。「いいじゃないか。」少し乱暴にわしは言った。「昨日もおとといも散歩をして、今日もまた散歩をしてどこが悪い。」はいはい、と言いながら、婆さんは笑顔のままでお茶をいれる。ほとほとと、eココロヨい音を立てて熱い緑茶が湯飲みに落ちる。「⑦そんなに笑うとしわが増えるぞ。」わしは言い、浅漬けのきゅうりをぱりぱりと食った。標準問題②きまりが悪くなる。4250点)【■■晴れた空の下で■

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