探求 論理国語 付属教材・資料見本
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意味段落しい商品を用意して社会の要求に迎合していかねばならなくなる。それを逆手に取って、あたかも世の中を牛耳っているかのように尊大に振る舞う科学者すら登場するようになった。●要約評論解析A十九世紀半ばまで︑科学は自然が投げかける紀に入り文明の建設にいそしむようになると︑科学は自由を失っていった︒科学は役に立とうという野心を捨て︑再び文化のみに寄与する営みを取り戻すべきだ︒文化としての科学を広く市民に伝え︑科学の楽しみを市民と共有する必要がある︒科学者という人間の成功や失敗の「物語」も一緒に紡ぎ合わせることで文化としての科学が豊かになっていく︒︵200字︶科学と市民教科書(三四〜三五)■ 文化とは、芸術・芸能・哲学・思想・道徳・宗教・祭祀など人間の精神的活動の所産のことで、当然科学も文化の一つである。少なくとも十九世紀半ばまで科学は自然哲学であり、自然が投げかける■に挑戦する純粋な文化の営みであった。二十世紀に入って科学の原理が技術に生かされるようになり、科学は文化という枠を超えて物質的所産である文明の建設にいそしむようになった。科学は制度化・軍事化・技術化・商業化を通じて変容したのである。それによって、国家というスポンサーの意向を斟酌するようになり、軍事体制に組み込まれ、生産に役立つことが奨励 5され、知的財産を蓄積すべく運命づけられた。これらが課している限界(言葉を換えれば大きな期待)によって、■好奇心の趣くまま■の自由を楽しんでいた科学は息苦しい状態になりつつある。ればないで済ませられるが、そこにあれば楽しい、なければ何か心の空白を感じてしまう、そんな■無用の用■としての科学である。世の中に役立とうというような野心を捨て、自然解析と2戯れながら自然の偉大さを学んでいく科学でよいのではないだろうか。■ むろん、経済解析一1辺倒の現代社会では、そんな原初的な科学は許されない。社会もムダと思われるものに金を投ずるのを忌避するからだ。それが■役に立つ■科学とならねばならない要因で、科学者もセールスマンのように次々目新■ それでいいのかと改めて考え直してみる必要がある。確かに科学には金がかかり、それには社会の支持が欠かせない。■無用の用■にすらならないムダも多いだろう。しかし、ときに科学は世界の見方を変える大きな力を秘めている。事実、科学はその力によって自然観や世界観を一変させ、社会のありように大きな変化をもたらしてきた。社会への見返りとは、そのような概念や思想を提供する役目にあるのではないか。それは万に一つくらいの確率であるかもしれないが、科学の営み抜きにしては起こりえない貢献である。■ 今必要なのは、■文解化析2としての科学■を広く市民に伝えることであり、科学の楽しみを市民とともに共有することである。実構際成、本・当要のと約ころ市民は■役に立つ科学■ではなく、■役に立たないけれど知的なスリルを味わえる科しての科学■が豊をかに掲なっ載てしいくまのでしはたない。だろうか。それが結果的に市民に勇気や喜びを与えると信じている。●構成展開図 *四角数字は形式段落番号 1 十九世紀半ばまで科学は自然が投げかける■に挑戦する文化の営みであったが、二十世紀に入って科学は制度化、軍事化、技術化、商業化され、文明の建設にいそしむようになり、自由を失っていった。2 科学は再び文化のみに寄与する営みを取り戻すべきである。世の中に役立とうという野心を捨て、自然と戯れながら自然の偉大さを学ぶ科学になるべきだ。3 経済一辺倒の社会は役に立つ科学ばかり求めるが、科学には世界の見方を変える大きな力があるはずである。4 今必要なのは文化としての科学を市民に伝え、科学の楽しみを市民と共有することである。科学の行為は人間の営みである以上多くのエピソードがあり、成功も失敗もある。それらを紡ぎ合わせることで、■文化としての科学■が豊かになっていく。19200字要約謎に挑む純粋な文化の営みだったが︑二十世31 本文再録教科書の配置・行数と合わせています。網掛け部分たどると論旨をつかめます。結 論 2か学ヒ理ら■をッ、を追グそ求いスこめ求粒にてめ子はいて発「数るい見上察多。るの要く市の騒段・の民に動約エもは「結な」ピ知相どで構論ソ的違をー冒な見成なはド険いれがをが、展どばあし、わ意開のりたそか、いのる味図文成の道。功だ筋段」章そも。はこで構落失そ■に敗れ物共は成ごもは語通あ■■と、をするはにるの本ひ。や満要そぶち素と要文れさてはら■い、■約のめものる物一人。と構で語緒気科、成ご■に、学が紡日のを確本あぎ食行る合や為示認文とわ月は全しいいせ食科うるや学体また点こ流者だと星とのしだ。に群い二たけ科よにう学っ注人〇。まはてが間冷■れの〇導す徹文る営入。字な化目み真と、だ・下要25考段約4考 察102導 入2015結 論1■ 私は、科学が再び文化のみに寄与する営みを取り戻すべきと考えている。壁に飾られたピカソの絵のように、なけ

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