探求 古典探究 付属教材・資料見本
67/84

解説「鴻門之会」に登場する人物を、③項荘…范増に命じられて、鴻門の宴席項王側(楚)と沛公側(漢)とに分けて整理し、それぞれの人物の役割と行動、心理をまとめてみよう。読解答「鴻門之会」㈠~㈤の中から、項王と沛公の人柄がよく表現されている箇所を挙げ、人物像を比較してみよう。読解答「鴻門之会」㈠~㈤の中で用いられる比喩的な表現を指摘し、その意味と表現上の効果とを確認してみよう。ねらい  ▼読む㈤豎子、与に…学習の手引き鴻門之会教科書(五三〜六三)史伝Ⅱられる。むろん、樊噲の立場で項王に直接応えるのははばかられる、張良が代弁するのは当然、という見解も成り立つ。しかし、後の場面では樊噲は張良を介さずに項王と受け答えし、しかも大演説を披露している。やはりこの場面は張良の機転を利かせたみごとな応対と見ておきたい。〈項王側(楚)〉①項王(項羽・籍)…反秦連合軍の総大将と目され、自らもそれを誇っていた。沛公に関中入りの先を越され、函谷関を閉鎖した沛公に怒って、沛公討伐を決意する。しかし、その直前になって、叔父の項伯のとりなしで沛公の謝罪を受け入れる気になり、沛公と鴻門で会う。鴻門の宴席では、范増の沛公暗殺の意図に応じず、樊噲を壮士と認めて弁明を許すなどして、沛公を撃つ千載一遇の好機を逸してしまう。圧倒的に有利な立場に立っていた項王は、沛公を撃つことは切迫した問題ではないと感じていたようである。②范増(亜父)…項王の指南役。沛公が将来恐るべき敵となることを予想し、鴻門の宴席で沛公を殺すように項王に合図する。項王が応じないと見るや、項荘に剣舞をさせ、それに乗じて沛公を殺してしまおうとする。しかし、項伯が邪魔をし、暗殺は失敗。むざむざと沛公を逃がした悔しさと、項王の甘さに激しい怒りを感じている。で剣舞を舞い、その■に沛公を斬ろうとするが、項伯が邪魔をして撃つことができなかった。④項伯…沛公の謝罪を項王が受け入れるためのとりなし役となり、結果として鴻門の会実現の立役者であった。項荘の剣から沛公を守るために、自らも剣舞を舞い、沛公をかばうことで恩義ある張良を救う。両陣営の間に立ち、会見を無事に終わらせる重要な役割を果たしている。〈沛公側(漢)〉①沛公(劉邦)…圧倒的に優勢な項王から自分に向けられた怒りを何とか鎮め 〈人物像〉ようと、百騎余りで鴻門に出向き、巧 みな言葉で項王に謝罪する。そして、その場を何とか切り抜けられるよう、様子をうかがいながら脱出を図る。②樊噲…宴席での沛公の危機を救うべく、力ずくで宴席に乱入。激しい気迫と理路整然とした弁明で宴席の空気を一変させ、沛公側に優位な流れをつくる。沛公脱出に捨て身で尽力した人物である。③張良…宴席の状況を冷静に読みながら、 〈人物像〉事態の打開を図る。沛公の脱出後も宴 席に残り、一人で会見の後始末をする。※そのほか、沛公の脱出に付き従った夏侯嬰らや、項王に密告をして沛公に処刑された曹無傷も挙げられる。◆◆◆・項王…沛公に■此沛公左司馬曹無傷言之。■(五四・3)と密告者の名前を漏らした部分。また、会見において范増から沛公殺害を再三促されたにもかかわらず、■黙然不応。■(五四・9)であった部分。沛公側にせっかく内通者がいたにもかかわらず、その人物の名前を不用意に沛公に漏らしてしまう様子から、項王※活動 ねらい・準備物・手沛令順・評価規準などを詳しく公将に示しました。軍関与してはこのほかにも、■臣与の脇の甘さが感じられる。また、沛公殺害を決断できない態度からは、項王が優柔不断で危機意識に乏しい人物であることがうかがえる。・沛公…■今者、出未何。■(六〇・2)と樊噲に問い、樊噲の言葉に従っている部分。沛公が臣下である樊噲の言葉を素直に受け入れてそれに従おうとする様子からは、その場の状況にすばやく対応する柔軟性と決断力がうかがえる。また、状況を冷静に判断し、適材適所に人材を用いて彼らの能力を引き出そうとする度量の大きさも感じられる。将軍力而攻 勠 戦河南。然不得復見将軍於此。今者、有小人之言、臣有う発言から、下手に出て項王の不信を払拭し、鎌をかけて内通者を聞き出す等の老獪さを見て取ることができる。辞也。為之奈秦。将軍戦河北、臣自意、能先入関破秦、●。■(五三・2)とい活動読解 2読解 165

元のページ  ../index.html#67

このブックを見る