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ここまでの梗概2本文研究…本文をさまざまな角度から分析・解説しました。●要約構成・内容2 本文研究源氏物語(若紫との出会い)教科書(一〇六〜一一一)  42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎しいが本もと  47総あげ角まき 48早さ蕨わび 49宿や木ぎ 50東屋 51浮舟  52蜻蛉 53手習 54夢浮橋 ︵太字は本教科書の本文が採録されている巻を表す︶第一部は「桐壺」から「藤裏葉」までの三十三帖で︑主として光源氏の華やかな前半生を描いた部分である︒この部分は︑物語の展開に即してさらに以下のように三つに分けることができる︒Ⅰ 光源氏の生い立ちと︑継母藤壺宮との過失を秘めつつ︑正妻葵上や紫上をはじめ︑空蟬・夕顔・末摘花・六条御息所・朧月夜・花散里等々の女性との関わりを描いた「桐壺」から「花散里」までの十一帖︒Ⅱ 政敵右大臣の姫君朧月夜との密会が露見し︑余儀なく須磨に流謫して明石君に出会い︑やがて帰京して昇進栄達の道を歩む「須磨」から「乙女」までの十帖︒Ⅲ 四町に四季の庭を配した理想的な大邸宅六条院を造って愛妻たちを住まわせ︑自らは太上天皇に準ずるという特別な待遇を得て栄華の極みに達する「玉鬘」から「藤裏葉」までの十二帖︒第二部は「若菜上」から「幻」までの八帖で︑主として光源氏の晩年の孤独で寂しい心境に焦点を当てている︒朱雀院の皇女女三宮の源氏への降嫁は︑結果と物語次のように︑「源氏物語」の構成は︑大きく三部に分けて考えるのが通説になっている︒第一部 光源氏の華やかな前半生Ⅰ 生い立ちと青春の奔放な恋愛生活  1桐壺 2帚は木ぎ 3空うつ蟬せみ   6末すえ摘つむ花はな 7紅もみ葉じの賀が   10賢木 11花散里Ⅱ 流離の後帰京しての栄達  12須磨 13明石 14澪みお標つし 15蓬よ生う 16関屋  17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔 21乙女Ⅲ 六条院の理想的な栄華の世界  22玉たま鬘から 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏  27篝火 28野分 29行み幸ゆき 30藤袴 31真木柱  32梅枝 33藤裏葉第二部 光源氏の寂しい後半生Ⅳ 罪の応報と孤愁の影  34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫  39夕霧 40御み法のり 41幻︵雲隠︶第三部 光源氏亡き後の世界Ⅴ 宿命の宇治の人々はき4夕顔 5若紫8花宴 9葵もぎどり瘧わらわ病やみにかかった光源氏は︑京都の北山へ評判の験者を訪ね︑加持を受ける︒加持の合間に岩室の外に出て︑辺りを眺めているうちに︑麓の風情のある僧坊に目が留まる︒して最愛の妻紫上を病死に追いやり︑また︑この光源氏晩年の若妻と柏木との不義は︑遠い若き日の藤壺宮との罪の応報として光源氏の胸に突き刺さり︑今さらながら因果の恐ろしさにおののくのである︒この第二部の物語は︑富も地位も権勢も︑すべてに理想を勝ち得た光源氏にして︑なお因果応報の恐ろしさに苦悩し続けなければならない姿を描いており︑第二部があるがゆえに︑「源氏物語」はそれまでの古物語を大きく超越したと言うことができよう︒第三部は「匂宮」から「夢浮橋」までの十三帖で︑光源氏薨去後の世界の物語である︒このうち初めの三帖は︑光源氏亡き後の周囲の動静を語りつつ︑以下に活躍する二人の貴公子︑薫と匂宮を紹介する︒「橋姫」から「夢浮橋」までの十帖は︑古来「宇治十帖」と呼ばれる部分で︑薫・匂宮と宇治の大君・中君・浮舟との恋愛物語が展開されるが︑ことに薫の宿命は︑光源氏の罪過のさらなる応報の物語となっている︒華麗な王朝貴族社会を舞台として︑複雑な構想︑多様な筋立てのもとに︑多彩な登場人物が織り成す喜怒哀楽の人間模様を︑きめの細かい筆致で︑四季折々の美しい自然を背景に︑しかも豊かな余情と深い陰影を揺曳しつつゆったりと描いていくさまは︑まことに大河小説と呼ぶにふさわしいものである︒   ず     く    ら4

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