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一九六八(昭和43)年、新潟県生まれ。批評家・随筆家。慶應義塾大学文学部仏文科を卒業後、会社社長、「三田文學」編集長などを歴任。二〇一八(平成30)年より東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。二〇〇七(平成19)年、「越知保夫とその時代 の文学」で第十四回三田文学新人賞評論部門に当選。二〇一六(平成28)年、『叡知の詩学 俊彦』で第二回西脇順三郎学術賞を、二〇一八(平成同年、『小林秀雄 美しい花』で第十六回角川財団学芸賞を、二〇一九(令和元)年、同書で第十六回蓮如賞を、それぞれ受賞。詩、文芸、宗教、現代思想、言語論など、あらゆる哲学的・文学的な要素について、わかりすく述べた評論が多い。評論のほか、哲学・文学活動の範囲は多岐にわたり、詩の実作も行っている。現代を代表する哲学者であり、評論家であり、批評家、随筆家、詩人でもある。その活動の幅は驚くほど広範囲である。主な評論・エッセイ集に『悲しみの秘義』『イエス伝』(平27)、『生きていくうえで、かけがえの求道小林秀雄と井筒   出 典      士■■の心」によった。ないこと』(平28)、詩集に『詩集 幸福論』(平30)などがある。フランソワ・ミレーの絵画から想起して題名が付けられた、日常の中で出会う場面の詩・エッセイ集。日常の中で出会う「言葉なき人々」に思いを寄せる姿勢は高く評価されている。エッセイの一つ一つが、穏やかな書き方で始まり、小さい石を積み上げていくように進行し、最終的には大きなものを作り上げるような展開の作品が集められている。教科書本文は、同書中盤に収められたエッセイ「武■■①教科書四二ページ14行目と15行目の間の省略。宗教的世界では、さまざまなものがコトバとなり、見る者を象徴の世界へと導く。こうしたコトバの表現をめぐって、柳宗悦が興味深い記述を残している。今日柳は、民藝運動の中核的な人物として語られ教科書(三八〜四五)見えない涙』(平ることが多いが、同時に傑出した宗教哲学者でもあった。むしろ柳にとって民藝運動は、終始、宗教哲学者としての実践だった。中世ヨーロッパのキリスト教芸術をめぐって柳は、「中世の藝術は何事よりも先ず一個の聖典であった。そうして凡その藝術家はその聖句を学ばねばならない」と述べたあと、こう続けている。 例えば聖像の頭の背後にある円輪は清浄を表示し、十字架に附けられた円光は神性の徴■■■である。之は三位一体を表わす時には必ず用いられる。又聖体の周囲から流れ出る白光は永遠の歓喜を告げるのである。 (「中世紀の藝術〔ゴシックの藝術〕」『柳宗悦コレクション2 もの』)聖なるものを描き出した絵画、彫刻は、姿を変えた「聖典」だと柳はいう。中世の時代、多くの人は文字を読むことができなかった。だが、その分、人々はさまざまなところにコトバを読み、その認識を深めた。聖像の円輪を凝視する者は、清浄の神学をコトバによって理解する。円光のコトバを読み取る者は、そこに神性の秘義を、白光は見る者に永■■■え筆者略歴・出典若松英輔もののふの心――言葉とコトバ『種まく人』(平30・亜紀書房)筆者略歴原文の加除・訂正1出典解説文学評論Ⅰ1出典解説…教材ごとに筆者(作者)や出典に関する詳しい解説を掲げました。教材の筆者および出典についての解説を掲載しました。教材の背景を確認することで、学習の導入などにお役立ていただけます。5330)年、『見えない涙』で第三十三回詩歌文学館賞を、29)、『詩集 

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