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二〇ページ二二ページ二〇ページ二一ページる前は、逃げ場もなく■絶望■するしかなかった■私■だが、ランドセルの存在によって■人は辛いことから逃げることもできるのだ。■と考え、絶望感が少し和らぐ。ここでは、■たった一人■とわざわざ付け加えられ、また別の箇所でも■一人で、どこかで、大人になるまで生きていける■(二〇・16)と繰り返されている。つまり、この小説においては、■逃げる■ということは他者との関わりを避けることを意味しているのである。したがってこの■絶望■は、■私■が逃げずに他者との関わりを持てるようになると、自然と消えていく。なお、角田光代の作品には、登場人物が■逃げる■場面がよく登場する。■エコノミカル・パレス■などのいわゆる■フリーター小説■では、主人公は現実逃避した末に、結局着地点を見つけられない。■八日目の蟬■はまさに■逃避行■を描いた小説だが、結末には一抹の希望が描かれる。言ってみれば、■ランドセル■は後者の系統に当たる。友達と一緒に遊び、時間を共有できる小学生。物語冒頭一人、全財産を持って、逃げよう 2 私はごく普通の、どこにでもいる小学生になっていた ランドセルを手にす  答  ・■愉快な気持ちになって■(二一・7)。・■ずっと笑っていた■(二一・8)。▽ランドセルが届く前、絶望感を持っていた■私■が笑う場面は描かれていなかった。しかし、ランドセルを背負う■私■は、性格すらも変わってしまったかのように■愉快な気持ちになって■■ずっと笑っていた■のである。▽■新しい扉■を開けられた理由として、■かつてのように絶望しなくなった■ことを挙げている。ランドセルに荷物を詰め込んで逃げ出せるという安心感から、■おはようと言われればおはようと返せばいい。■とあるように、他者と関係を結ぶ勇気を得たのである。  答  ・以前よりも周囲とコミュニケーションが取れるようになったから。・絶望したら、ランドセルに全財産を詰めて逃げ出せばいいと思うようになったから。▽かつては■そこしかいる所がない■(一七・2)という思い込みが絶望の色合いを濃くしていたが、絶望したら逃げ出せばよいと思えるようになったのである。しかし、以前より多少前向きになったとはいえ、消極的な面は授業展開例 (発問と解説)語句の解説ランドセル②ランドセル●展開のポイント8  ◆4  「何か大丈夫な気がしてきた。」のはなぜか。5  問  家族にランドセルを披露する場面における「私」の心情の変化を表した表現を二つ抜き出せ。教科書(一六〜二八)1 第二段落を音読し︑ランドセルを手にしたことで生じた「私」の心情の変化を押さえ︑その後の成長を読み取る︒  答  ランドセルは何でも入るほど大きいので、小学ころの校ろよ生がなろき絶どとる望、後世的一ろ界な般には場的よそ所にろれだいけほっったどたて。狭■(り■い、生二のまき一で・た延あ3自びる発問例 読解のポイントを押)分る。。■さえられる発問と、その解答に■私絶たを示しました。■望したりしたら、全財産を詰め込んでどこかに逃げ出せばいいと思ったから。▽■全財産■とは、これまで生きてきた中で大切にしてきたぬいぐるみ、絵本、お菓子、石めには不要なものばかりである。  しかしそれを背負った■私■にとって、■背負った全財産はあまりにも重く、私はよ小説Ⅱ小説Ⅰった。」のはなぜか。理由を二つ挙げよ。 教科書(一九・11~二五・4)読み取りのうえで重要となる語句について、詳しい解説を掲載しました。46のこ■と誰がとあ語もん句うまのまりくな解話い説せ。■(なく一て七、・…5…)楽とし対い比とさ思れうるよ姿うでなあ12   問  「私」が「かつてのように絶望しなくな12     ◆5答   「 新扉た」なは世、界どへこのへ扉の。扉か。11  どこか、絶望しないでいられる場所を探して、たった

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