探求 文学国語 付属教材・資料見本
38/76

私は特別な才能のある選ばれた人間だというプライドと、地方の県の小役人と同列に見てもらっては困るという同僚を軽■する思い。進士でも多くは地方の県尉からスタートし、数年して中央に戻り、栄達の道をたどる。李徴だけが特別に冷遇されたわけではない。李徴はプライドが高く、最初から中央の官僚でなければ耐えられな ■性、狷介、自ら恃むところすこぶるかったのである。◆◆◆した。「読み取ろ後百う年」のに残設そう問■でと詩は作、にふまけずるが本、文文に酒つがい入ってたのりす内る容と同理僚解を■視する言葉を確認します。「深めよう」の設問では、読み比べによる発展的な読み取りを行います。隴西の李徴は博学才穎(四六・1)〜誰もなかった。(四七・5)教科書六〇〜六一ページの本文が■山月記■と対応しているのは冒頭部分であって、■山月記■の全文と対応しているわ ■徴性疎逸、才を恃みて倨傲なり。■かけではない点には注意させる。厚く、■や■彼が昔、鈍物として歯■にも掛けなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の俊才李徴の自尊心 ■徴性疎逸、才を恃みて倨傲なり。跡をいかに傷つけたかは、想像に難くない。■といった表現から、その性格は人と名を揚げることはできず、心身ともに追い込まれることから、詩人としての成功を人生の第一目的としている人間であると言うこともできる。ら、■山月記■同様、その性格は人との協 調性がなく、プライドの高いことがわかるが、それだけではない。酒や病気のうえでのことではあるが、■生は乃ち君等と伍を為さんや。■という言葉を吐いたり、し、虢略での生活を切り上げている。供の者を■で打ったりする場面が出てくる。憤懣や怒りを他者にぶつける攻撃的 な李徴の性格も見てとれる。人との協調性がなく、プライドが高く、が尽き、かつて勤めていた地方の有力者■賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は……■と ■人虎伝■の李徴は■間適■の生活、■山あるように、下級官吏として勤めることに耐えきれず、それが理由で、ほどなくして自分から官を辞したように記されている。を卑僚に屈する能はず。■とあり、■山月記■と同じような理由が挙げられているが、辞任に至る経緯は異なる。李徴は・ 宴会の席で同僚を■視するような言葉・ 退官して生活に困ると自分を評価して2    1為1    ・ 発狂した後、供の者を■で打つこと。を吐いて顰蹙を買うが、しかしそれでも何とか■謝秩に及べば、則ち退き……■とあるように、任期いっぱい勤めて退職している。ひたすら詩作に専念し、詩人として名を揚げようとする。しかし、それが叶わず、心身ともに追い詰められ、生活にも困り、己の詩人としての才にも半ば絶望任期いっぱい勤めあげ、虢略に帰って■間適■(ゆったりと心ゆくままに静かに暮らす)の生活を送り、俗人とのつき合いを絶っている。しかし、やがて生活費の伝手を頼り、援助を求めるようになる。月記■の李徴は■詩人として有名になろうとする死に物狂い■の生活とあり、両者の生活の実態は大きく異なる。を吐くこと。くれる人々を回って援助を乞うこと。 【評価の観点】  知︙知識・技能話︙話す・聞く能力書︙書く能力主︙主体的に学習に取り組む態度読︙読む能力■人虎伝■李徴が官僚を辞した理由 ■山月記■■人虎伝■深める手がかり比較で深める 「生乃与君等一・1︶という発言には、李徴のどのような思いが見て取れるか。句形にも注意しながら、説明してみよう。読解答解説六〇~六一ページに掲げた「人虎伝」深のめ冒頭る部手分がは、か「り山月記」ではどの部分が対応しているか、の協調性がなく、プライドの高いことが指摘してみ「よう深。め読る手がかりわか」のる。解そ答して例、■と詩、家解とし答てをの名導をく死た日め々■の嘗解に鬱説鬱をとし示てし楽しままず■、宴会で解答生は乃ち君等と伍を為さんや〔人虎伝〕解説伍耶。」︵六「山月記」と「人虎伝」との相違点について、次の項目ごとにまとめてみよう。読① ② ③ 生活④ 「人虎伝」にだけ見られる周 囲の人に対する李徴の行為解答① 李徴の性格■山月記■教科書(六〇〜六二)◆◆◆小説Ⅰ小説Ⅰ小説Ⅱ虢略に帰ってからの李徴の生活■山月記■■人虎伝■対する李徴の行為解説李徴の性格李徴が官僚を辞した理由虢略に帰ってからの李徴の② 読み取ろう読み取ろう深めよう36④ 「人虎伝」にだけ見られる周囲の人に③ 

元のページ  ../index.html#38

このブックを見る