探求 文学国語 付属教材・資料見本
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課 題1 ※ 書き下し文は■国訳漢文大成■、現代が、この行間にはただならぬ■何か■  が潜んでいそうで想像が膨らむ。課題1で考えたことを振り返りながら、   作者が■人虎伝■の簡潔な表現をどのように翻案しているか、課題1で題材に取り上げた表現をもとに考えさせ、批評文の形で説明させる。なお■批評文(批評)■については、課題の説明の中で触れておく。また次時までに時間的なゆとりがあれば、生徒の作品をいくつかピックアップしておき、次時の課題の参考資料として活用したい。にわかには信じがたい現実に遭遇した李徴の心の動揺が、簡潔な表現の中に感じられる。個別に次の課題に取り組む。→1次に掲げるのは、■平家物語■より■木曽の最期■の一節である。   木曽殿はただ一騎、粟津の松原へ駆けたまふが、正■■■月二十一日、入■■相■■ ばかりのことなるに、薄■■氷■■■は張つたりけり。深■■田■ありとも知らずして、の一節を翻案する。馬をざつと打ち入れたれば、馬の頭■■■ も見えさりけり。あふれどもあふれども、打てども打てども働かず。 これを例に倣って、現代の作品として四百字以内で書き直しなさい。   ■四郎! ゃ?■大声と同時に、時が止まった。その声は、夕暮れの太陽が沈み、暗くなりかけた冬の空に響き渡った。武 士である者が、今さらそのようなことを言っているのだ。しかし、その言葉は、人間の本能を、そして良心 を深くとらえていた。しかも、その声の主は紛れもなく■朝日将軍■義仲自身だったのである。   見ると、義仲の馬は深田にはまり 動けなくなっていた。自分の死が近づいているのを感じ、これまで考えてもみなかった■生と死■という難題を解こうと、義仲は必死になっていた。心の奥底に沈めようとしたその思いは、もう抑えきれないほどに 大きくなっていたのである。前時の活動を受け、ここでは古文の定番教材といえる、平家物語■木曽の最期■まず、前時の課題2で考えた、■山月 記■で作者が用いた翻案手法を振り返らせ、それをもとに、この課題を通して表現したいことを明確にさせる。次に、翻案は単なる現代語訳ではない人はなぜ殺し合うのじ(実際の生徒作品による)教科書(四六〜五八)ことに留意させ、前時の課題1と同じく、馬は顔ほどまで沈み、どんなに腹を鐙で原作の枠組みは変えずに、その場面の情景や登場人物の内面などを自由に想像し、いう願いは叶うことはない。ただ馬は暴独自の視点と発想に基づいて書くよう指示する。のな書おき生直し徒のも情認況めにる手順 3時限以上が想定さよ。っれる「活動」には、標準とて短縮の2種類の手順を示しは、ました。現代語訳 をなぞらせ、その一部を少し変える程度文・漢文)をもとに翻案させるのが 望ましいが、生徒の情況によっては、実施することもできる。参考資料として現代語訳を提示する。1 生徒が書き始めたら、前時と同様に机間支援を行い、生徒に積極的に声をかけ、■これは■と思った作品は(生徒の許諾を得たうえで)参考例としてクラスに紹介する。兼平を残し、義仲はただ一騎となったが、粟津の松原へと馬を走らせた。馬の蹄の跡が白い雪の上に点々と付いていく。 【資料】燃えるような夕焼けは、空も、白い雪に ■山月記■覆われた大地も、義仲さえも赤く染めて  いたが、いつの間にか夕闇があたりを包んでいたようだった。義仲の前にある泥田は薄氷を張ってい [ 書き下し文]非慟すること良■■久し。た。疲れのせいか、それとも薄闇のせい [ 現代語訳]わたしはしばらくの間、悲か、義仲はその薄氷には気づかず、泥田に馬を乗り入れてしまった。かすかに何 かの砕ける音がして、その薄氷は割れた。※ 古典を題材にする際は、原文(古蹴っても、■で打っても抜け出したいとれ、義仲もろとも深くはまっていくだけだった。どうすればよいのか……そんな思いが義仲の心をよぎる。以下の手順により、一時間に短縮して個別に次の課題1に取り組む。→1次の【資料】は、李徴が虎に変身した自分の姿を見たときの場面について、■山月記■と、その原作である■人虎伝■とを対比したものである。これを読んだうえで、■山月記■の作者がこの場面においてどのように原作の古典を翻案しているかについて、自分の考えを五十字以内で述べなさい。 自分は初め目を信じなかった。次に、これは夢に違いないと考えた。 ■人虎伝■しんで声をあげて泣いたよ。語訳は■漢文名作選■によった。(実際の生徒作品による)課 題       例   〈指導上の留意点〉〈批評文の例〉第2時限1 〈指導上の留意点〉山月記〈作品例〉手順b  ※短縮バージョン小説Ⅰ小説Ⅰ小説Ⅱ17

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