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五六ページ五六ページ五七ページか ■人虎伝■では、■君都に還り吾が友人妻子を見るも、慎んで今日の事を言ふなかれ。吾久しく使■旆■■を留め王程を稽滞せんことを恐る■とある。私の友人や家族に会っても今日のことは言わないでほしい、と言った後で、皇帝の使いを務めている袁傪を足止めしたことを気遣っている。生活を保証してほしいというこの李徴の願いは、袁傪に出会った直後に出されている。■山月記■で、この妻子への心配りを最後に配置したのは、■本当は、まず、このことの方を先にお願いすべきだったのだ■(五六・13)を導き出すための小説の仕掛けである。問題として残されるのは、では李徴は詩に執着するような生き方をするよりも、家族の幸福を最優先に生きる方が、人間として立派であると考えているのか、ということだろう。■山月記■は、断定は下していない。しかし、■人虎伝■の李徴が世俗的な成功(幸福)を望む人であるのに対して、■山月記■の李徴は詩人として名を成そうとする一種の芸術家であったのはこの問題と無縁ではないだろう。のことを語頼句むこのと解を説詩のことを頼むより先にするべきだったという李徴読のみ反省取のり言葉のでうあるえ。でしか重し要、頼とむな順る番語句に内つ容といはて矛盾、を感じざるをえない。授業展開例 (発問と解説)語句の解説山月記⑥山月記●展開のポイントほしい」と李徴が言うのはなぜか。どういう心情が表れているか。教科書(四六〜五八)1 第六段落を音読し︑李徴の妻子への思いと李徴変身の理由を読み取る︒  答 ・虎になったことを恥じる気持ちから。・妻子が苦しむだろうから。・万一、妻子が会いに来たら危ないから。▽自分の尊厳を保ちたいという心と、妻子のことを思う心からである。自分の妻子を食い殺しかねない身であることを自覚している点も見落とせない。袁傪に■帰途には決してこの道を通らないでほしい■(五六・16)と言うのも同じ気持ちからである。  答 詩に執着するあまり、人間性が欠けていたことに対する自■。▽李徴は、第一段落では、■妻子の衣食のため妻子に■(五六・8)詩人になるのを諦めて役人に復帰したということなので、この■自■■の小説Ⅰ小説Ⅰ小説Ⅱ理由を考えよ。か。6 おれはすでに死んだと彼らに告げてもらえないだろう7 厚かましいお願いだが、…… ■人虎伝■では、妻子の7   問 「決して今日のことだけは明かさないで    教科書(五六・3~五七・12)*  問 第六段落の内容から、李徴が虎になった  答 人間の心(愛)が欠けていたから。▽■飢え凍えようとする妻子のことよりも、己の乏しい詩業の方を気にかけているような男わかりやすい理由ではある。ただし、ここは李徴が感情的になって話す■自■■の部分なので、それを言葉のとおりに受け取っていいかどうかはわからない。由も読み取ることができる。芸術とは人間の心(愛)を表すもので、それが欠如していた李徴が一流の詩人になれたはずはない。  さらに、詩への執着と妻子への愛との■藤から、芸術至上主義に対する作者の懐疑の気持ち(作者の芸術観)をここに読み取ることができるという説もある。(→「鑑賞」)  答 自慢げに自分の姿を誇示しようとする、ということ。▽似た語として、■勇を誇る■があるが、こちら3   問 「勇に誇ろうとして」とは、どういうこと詳しい解説を掲載しました。1213  まず、このことの方を先にお願いすべきだった 発問例 読解のポイントを  押さえられる発問と、そのだ間六解答を示しました。こで・か14こはらにな)、李いにこ徴もあんがのるな一に。獣流変人にの間身身詩しのを人て心落にしをなま失とれうっすなたとのかい李だっう徴■(たのが五理人は13   ◆6 「おれが人間だったなら。」には、李徴の

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