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五三ページ五三ページ5 「偶因狂疾成殊類……」の詩   〈現代語訳〉■意趣■が詩の内容のこと。■高雅■も■卓逸■も優れていることを表す。都の長安に住む芸術を理解する人々のこと。ここで■風流■とは世俗的なことを超越した高尚な遊び(芸術など)を理解し、その世界で遊ぶことを指す。■人士■とは地位・教養のある人々の意味。く■(五二・13)、■自■癖■(五三・1)、■お笑い草ついでに■(五三・2)などと関連し、すべて李徴が自■していることを表現している。■逃■■高■■豪■■嘷■が押韻。七言詩は通常、第一句末も押韻するが、この詩は破格。第三句と第四句、第五句と第六句が対句。李徴のこれまでの道筋が簡潔に表現され、虎となった現在の境遇から逃れることのできない悲嘆が痛切に響いてくる。もはや詩を吟詠できず、ほえ叫ぶだけの李徴の無念さが、よく表現されている。思いもかけないことに気がふれて、身は獣となってしま   ができず、ただ、ウォーッとほえ叫ぶだけだ。った/災難が重なって、この不幸な運命から、逃れることはできない/今日、私の鋭い爪や■に、いったい誰がしいて刃向かうだろうか、いや誰も刃向かうものなどいない(もはや私は虎なのだ)/思えば昔、進士に登第したあの頃は、私も君もともに秀才として評判が高かった/今、私は獣の身となって草むらに隠れているけれども/君はもう高級な車に乗って、すばらしい勢いだ/この夕べ、谷川や山を照らす明るい月に向き合って、/人間だったなら、詩を朗々と吟じるのだろうが、私にはそれ七言律詩。偶数句末の2   問 「今の思い」を詩の中から読をみ取豊り富、簡に潔示して▽■お樹間りを、渡る実冷際風のはすごで授に暁業のの近きイをメ告げーて■俗悪な大官■(五六・4)を嫌ったように、世俗的なものに価値観を求めず、はるかの高みにあるはずの芸術の世界へと旅立ったはずだった。しかし、現実に彼が求めていたものは世俗的な名声であったわけで、ここに李徴の芸術観のゆがみを見ることもできよう。▽②は、■芸術に生きる■ということが、一人の人間の生き方と本質的なところで切り離せないほど密接に結びついていると考えた作者の人生観を暗示している。④はその■芸術に生きる■ことができなかった自分に対する思いである。李徴の心理の変化と︑ここでの場面の情景を捉える︒  答 高くはっきりとした調子。▽■朗々と■(五二・8)とあるのに着目する。自分の詩を伝えてほしいと願い、その詩を精いっぱいの力を込めて朗読したのである。▽第三段落で見たように、この段落でも一人称の変更が行われている。この後に続く自■の部分ではずっと暗く気を高授ぶ業ら展せて開い例ることが■おれ■という一人称からもわかる。(→  答 虎になった悲しみ。教科書(四六〜五八)一時限ごとの授き業出展した開い例。李を徴、が隠原れ則てい見る開のもきこ二の草ペむージで見やすくら示のし中なまのしであたる。。発問例や板書例ジを描きやすいい紙た面■の構部成分にと擬な人法っがて用いいらまれてすい。ること▽この詩の現代語訳は「語句の解説」を参照。原典の■人虎伝■にあるものを引用した七言律詩である。  作者がこの詩を原典からそのまま引用したのは、この詩がこの作品の内容にぴったりと合うものであったからであろう。その意味で、この詩の内容は無視できない。生徒にはこれまでの漢文の授業で得た知識を用いて、意味を把握させたい。▽特に七、八句で虎としての悲しみを月に訴える様子は、この作品のラストシーンと重なり、また題名の■山月記■にも直結するものであり、この作品全体を鑑賞するのに、非常に重要な部分である。  答 朝近くまで空に残る月の光は冷ややかに光り、その光に照らされてきらきらと光る白い露が地面に生えた草の上にびっしりと降り、木々の間を吹く風が冷たくなったので、夜明けが近い。▽■白露は地にしげく■という部分で、なぜ地面に露がたまっているのかを生徒に考えさせ、そこに草が茂っているからだという答えを引も確認したい。山月記李徴の「調子」はどんなものだったのか。「学習の手引き・読解1」)にまとめよ。く、樹間を渡る冷風はすでに暁の近きを告げていた」という部分が示す情景を説明せよ。小説Ⅰ小説Ⅰ小説Ⅱ 1116  嗤ってくれ ■嗤う■は■笑する。■自らを■るがごと15  長安風流人士 2 13   問 「突然調子を変え」とあるが、ここまでの13   問 「残月、光冷ややかに、白露は地にしげ

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