探求 古典探究 ダイジェスト版
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 1  2 空の様子の変化を、時間の経過に沿って整理してみよう。作者は雷をどのように表現しているか、また、それはどのような効果を上げているか、まとめてみよう。太平か記ら 建けん武むの新政、南北朝の動乱など、五十年にわたる時代を和漢混交文によって描いている。江戸時代初期には、町中などで「太軍記物語。作者未詳。小島法師の作とも伝えられる。十四世紀中頃の成立と見られる。四十巻。後ご醍だい醐ご天皇の鎌倉幕府討幕平記」を講釈する「太平記読み」によって語られ、広められた。本文は「太平記」(岩波文庫版)によった。 3 古典世界の夜こ1れらをこそ、2希き代たの表3示とも申すべき処とに、同じき六月三日、4八や幡はと14焼せ亡ばに異ならず。この電の寄り合ふ姿、色々の異15形の者ども見えしが、りのつのゅくざは革がの禍わひなり。謹10慎軽からず。」と、11陰お陽や宿す曜え等ら密奏す。たぶつみいなびかり巽たの方より、かやのほらの寅と刻こばかりに、乾の光次第に退きて、巽の光頻しりに進み行くやうに見えころやうやうぬのらめなびかぬゐとぼしびうほとばしやうの御宝殿、1辰た刻こより酉と刻こまで鳴動す。その響き休やむことなく振るひけるに、5神し鏑ての声を*添へて、王6城を指して鳴つて出いづ。「7常じ篇へに少なし。」と、季の司し曜え宿し三さ星せ打ち続きしかば、「月日を経ずして大乱出で来き、天子位を失ひ、大臣災ひを受け、子父を殺し、臣君を殺し、*凡おそ飢き饉き、疫え癘れ、兵ひ国王襟12を傾かけ、大臣肝を冷やす処に、また後の六月五日の戌い刻こに、けしからず天地を閃ひかす。例の夏秋の暑気の天に、穂の上照らす宵の間の稲妻かと見るほどに、また乾いの方より、電いり光輝ひり出でて、両方よりの稲妻暉ひり耀かく。その余光、百千のが如ごくなり。あな不思議やと見居たれば、かの両方の電寄り合ひて、戦ふ如くに、散りては寄り合ひ寄り合ひ、その13映え輝き形け耀えを打ち散らし、暴風焰ほを吹き立つるが如く、余光天地に満ちて、赤きこて、両方の光消え去ること卯う刻こばかりに失うせにけり。「これ*ただごとならず、*いかさまにも天下の変なり。」と申し合へり。演 習くの   くきうういい迸わとか燈か電くんうくうよんきいくんういいくんいいいきんんくくいた55くんう21ちんうわずを虚空に張るりて、ただ猛み火く(第二十七巻)この時代において、空や星の動きは人々にとってどのような意味を持っていたか、考えてみよう。〔太平記〕5神▼鏑参の考声  巻末1「時刻・方位図」3表示 4八は八幡ま幡宮ぐ 。6王城 7常篇 8太白、辰星、歳星斗 9四季の司曜宿 神仏の示す予兆。今の京都府八幡市にある石い清し水み神が放つ鏑か矢やが放たれるときに出す音。神意を表すと考えられた。御所。天皇の住居。前例を調べるために常備している書物。が社あ務っがた注た進めしかたの。は、どのような意図太白は金星、辰星は水星、歳星は木星。斗は星。四季の運行をつかさどる星。を慎むことを軽んじてはならない。よって占いを行う役人。激しく輝く光。火災。普通とは異なる様子を持った化け物や妖怪。*添ふ凡そただごといかさまなり天下怪異のことぶらょう陰お陽み師じと宿す曜よ師し。天文に10279 天下怪異のこと14焼亡 15異形の者 13映輝形耀 12襟を傾け 訳心の底から心配し。11陰陽宿曜 10謹慎軽からず 訳(怪異に備えて)身「古典世界の夜―月・星・闇」をテーマにした、ジャンルの異なる三つの文章を掲載。各々のジャンルで「夜(月・星・闇)」をいかに観賞し、どのような美意識を持ち、そして作者の心情はどうだったのか、それぞれの違いに思いを馳せます。社2務これを注進す。また、同じき六月十日より、8太た白は、辰し星せ、歳さ星せ斗と、四9「時▼辰か参刻ら考よ何 り時巻酉頭ま刻で2「まに京で当都」た付とる近はか地、。図現」在の何37

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