探求 古典探究 ダイジェスト版
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擬古(古典を模倣する)物物語語について公み主こと契るが、公主は日本での再会を約して死ぬ。皇帝崩御後、内乱が起遣唐副使として唐に渡った弁べ少し将しこると、少将は皇帝の子である幼帝とその母(母后き)に従い敵将を倒す。母后に思いを抱くようになった少将は、ある山里で妖艶な女性と出会う。んのょうょうたちばなのうちき5んくうういとのつや  橘だじ氏う忠たは、唐の皇帝の妹、華か陽よさきうの3簫 4昔の女皇女 秦しの穆ぼ公この娘弄ろ玉ぎのこ512「擬ぎ古こ物もの語がたり」とは、鎌倉時代から近世所篳仙か篥に初頭に成立した、平安時代の王朝貴ら 昇 り族を主人公にする作り物語(=本格的場た所ま物語)を文章・内容ともに拠よるべき古がひ場に典としているので、擬古(古典を模倣所けする)物語といいます。現存するものだれけ はわずかです。擬古物語の主要な作に訳仙。品として「松浦宮物語」の他、「住吉物「人所と語」「石清水物語」などがあります。がしらて」ともいう。管を並べる。本来篳篥とは別の楽器。と。夫の簫史とともに簫の名手。天に昇りなさったのだなあ。雅楽の管楽器。雅楽の管楽器。中国の竹笛で、竹夕べの空に眺めわびて、何となくあくがれ出いでぬ。いたく高きにはあらぬ山がかれる里の梅のにほひ、ほかよりもをかしきあたりを分け入れば、松風はるかに聞こえて、山の端は出いづる月の光、暮れ果つるままに、浮き雲残らず空晴れて、さえゆく夜のさまに、もののあはれまさりて、はるかなる林の奥を尋ね行けば、わが国に1篳ひ篥りとかや、なつかしき声としも思ひ習はざりしものにや、所2からは似るものなく聞こゆ。この国には3簫せとぞ言ふ。「むべこそ、昔4の女皇み女この、これを吹きて仙5に昇りたまひにけれ。」と、あ松ま浦ら宮み物語梅ば里りの一ひ夜よょく▼巻頭5古文ジャンル解説▼巻末5鳥瞰文学史文学史上最高傑作とされる「源氏物語」以降の物語作品として、「擬古物語」の主要な作品の一つである「松浦宮物語」から教材を採録しました。教科書216ページ21634

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