探求 古典探究 ダイジェスト版
30/68

「源氏物語」を堪能する元服した源氏は、左大臣の娘のっくりといかず、源氏の心は、父の妃きである藤ふ壺つ宮みへの思慕の情で占められていた。その思いは、やがて許されない恋情へと変わっていく。十八歳を迎えた春、源氏は病気治療のために訪れた北山で、藤壺宮によく似た少女と出会うことになる。だれもてあおいの上うと結婚するが、二人の若紫夫(源婦氏物仲語画がは帖じう)しさきいやりたる額つき、髪ざしいみじううつくし。ねびゆかむさまゆかしき人物語かな、と目とまりたまふ。さるは、限5りなう心を尽くしきこゆる人に、いぼのじや葵えょふくしらそ5きばれそのうりんしやえつのとよう似たてまつれるが、*まもらるるなりけり、と思ふにも涙ぞ落つる。つ、尼「君け6、△づ髪按あるを察ぜこか使ちときのを大なうで納るつ言さがりたま尼へ君ど、をかしの御み髪ぐや。僧そいう都ずとはかなうものしたまふこそ、あはれに*後ろめたけれ。か4ば6面▼参つき考  巻頭4「室内の調度品」1かの小柴垣 この巻の冒頭に、源氏が2惟光朝臣 源氏の乳めと母の子。源氏が信3西面 4中の柱 5脇息 7まみのほど 目元の辺り。8そ注が2れ参た照る。 尼そぎのこと。五八ページ病の祈き禱とをしてもらうために北山を訪れ、この小柴垣に目を留めたことが記されている。「小柴垣」は、細い木や竹の枝を結び束ねて造った垣根。頼している従者。「若紫5と限のり出な会う心いを」尽人く物しき系こ図ゆる人 △姫君6けづること △髪印をはと故か人すこと。卿宮み△桐壺更衣西向きの部屋。部屋の中央の柱。肘掛け。頰の様子。太字上はげ本る文人中。の主要人物2眉のわたりうちけぶり 3額つき、髪ざし 4ねびゆかむさま 訳成長していく様子。眉墨で描いた引き眉ではなく、生えたままの眉であるさま。訳眉の辺りがほんのりと美しく。具合。宮のこと。訳この上もなくお慕い申し少女なので、額の様子や髪の生え藤壺か1の小こ柴し垣がのもとに立ち出いでたまふ。人々は帰したまひて、2惟こ光み朝あん臣との日もいと長きに、つれづれなれば、夕暮れのいたうかすみたるに紛れて、ぞきたまへば、ただこの3西に面おにしも、持仏据ゑたてまつりて*行ふ、尼なりけり。簾す少し上げて、花奉るめり。中4の柱に寄りゐて、5脇け息その上に経を置きて、いと*なやましげに読みゐたる尼君、*ただ人と見えず。四よぢ十余よばかりにて、いと白う*あてに、痩せたれど6面つつきふくらかに、ま7みのほど、髪若紫との出会い若紫(むらさきのょうきょうの兵ひ部ぶかる光ひ源げ氏じ紫上う)1510教科書106ページ「若紫」での垣間見若紫(源氏物語画帖)10628藤桐き壺壺つ4ぼ「帝宮あはか、るばそもかれのりぞをにれ。な」のどれ「うばかいば、いうかと状り態か」「かのかこらかとぬら人かぬも。」

元のページ  ../index.html#30

このブックを見る