探求 古典探究 ダイジェスト版
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「源氏物語」の書名皇族に生まれたが臣籍に下り「源」の姓を賜った人が主人公の物語の意。「源氏物語」の成立作者紫式し部ぶが一い条じ天皇(九八〇年~一〇一一年)の中宮彰し子しに出仕していた十一世紀初頭に成った。全五十四巻にわたる物語の成立にはかなりの期間を要し、現行の巻序どおりに執筆されてはいなかったと考えられている。「源氏物語」の構成と展開氏没後の子孫について語る続編から成る。内容から正編を二つに分け、全体を三部構成で捉えることが多い。第一部は、光源氏の誕生から、女お君ぎたちとの恋を経て栄華を極めるまでを語る。第二部は、さまざまな問題が問い直され、光源氏の孤独な晩年が描かれる。第三部は、光源氏の子孫の世代の男女が織りなす人間模様を描き出す。●第一部まれた御み子こは、父帝の判断によって臣籍に下り、「源」の姓を賜った。優れた資質と類いまれな美貌から、世の人は彼を光源氏と称するようになる。桐壺更衣没後、失意の帝に入じ内だしたのが、更衣に似ているといわれる藤ふ壺つ宮みであり、帝は藤壺宮を寵ち愛あするようになる。幼い頃に母を亡くした光源氏は、元服して左大臣の姫君である葵上うを正妻としたが、二人の仲はしっくりせず、光源氏は藤壺宮への思慕の念を募らせていった。若き日の光源氏は、かなえてはならない藤壺宮への思いを抱え、六ろ条御み息や所どら女君たちとの関係を重ねていく。藤壺宮に似た少女(紫上。後に光源氏最愛の妻となる)を見み出いすが、ついに藤壺宮と密通し、その結果、藤壺は、表向きには帝の御子となる男子を出産。また、葵上は六条御息所の生霊にとりつかれ、男子(夕ゆ霧ぎ)出産後、急死する。その後、政治的苦境の中、光源氏は都から離れ、須す磨ま、明あし石で日々を過ごす。時を経て、都に帰った光源氏は政治的実権を握り、藤壺との罪の子は即位する。光源氏は准じ太だ上じ天皇となって栄華を極めた。構成と概観②1 桐き壺つ2 帚は木ぎ3 空う蝉せ4 夕ゆ顔が5 若わ紫6 末す摘つ花は16 関せ屋や7 紅もの葉賀が17 絵え合あ8 花は宴え9 葵あはきかむらさきもぎみじなのおいずらょうたるがりかましらじのくしわせ▼「源氏物語」を彩高こ麗人の観相(源氏物語画が帖じう)あおいの古典に登場する色 る色とその名前むらさきみきちんのたかいうりだすえいゅじいやりうどまょめえらじききこつまつかんつぜすもさおとむえなきつみうおりぼおかなるとかる光ひ源氏在世時代を語る正編と光源ょうょうんなぼのかど帝みと桐き壺つ 栄更華衣にと至のる間まにでの生恋と罪ぼのょうころくじょうのょうゅん物語赤字の巻は本書に掲載▼巻名教科書紙面上の二次元コードを読み込むことで、学習の参考となるデジタル資料を見ることができます。31 真ま木き柱ば30 藤ふ袴ば29 行み幸ゆ28 野の分わ26 27 常と篝か夏な火び玉鬘十帖じょう25 蛍ほ教科書98・99ページ32 梅う枝が33 藤ふ裏う葉ば24 胡こ蝶ち23 初は音ね22 玉た鬘か10 賢さ木き21 少おめ女20 朝あ顔が19 薄う雲ぐ18 松ま風か15 ●よ生う14 澪み標つ13 明あし石12 須す磨ま11 花は散ち里さ9826※光源氏の若き日の恋人である夕顔の遺児、玉鬘をめぐる物語。概概観観「源げ氏じ物も語がり」

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