探求 古典探究 ダイジェスト版
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  古典の魅力「さきがけのいさを立てずば生きてあらじと誓へる心生い食ず知るも」。これは、平家物語を詠じた1子し規きの歌である。名歌ではないかもしれないが、子規の心が、平家物語の美しさの急所に鋭敏に動いたさまが感じられ、詩人がどれくらいよく詩人を知るか、その見本のような歌と思われておもしろい。もあの辺りは優れたところだが、とても平家の簡潔な底光がしているような美しさには及ばぬ。同じ題材を扱い、こうも違うものかと思う。読んでいると、子規の歌が、決して佐さ々さ木き四し郎ろの気持ちというような曖昧なものを詠じたのではないことがよくわかる。荒武平者家との3駻か中馬ばのと合の戦躍のり文上章がはるみよなういない動がき、を宇、治は川っ先き陣りはと、見好てき、なそ文れのを一そつのだま。2ま盛じは衰すっ記ききでりより深い理解へ誘う23「平家物語」から「忠度の都落ち」(初採録)「宇治川駻盛増の先陣」「先帝入水」を採録。小林秀雄の名文「平家補馬衰 し記物語」も掲載。平安時代の描写を現代の視点で鋭気 た性内く批評。演習として、小林秀雄の考え方を踏まえなが容荒にがら「宇治川の先陣」を音読することで、描写・表現いな暴っを味わえます。てれした音楽にしているのである。なるほど、佐々木四郎は、さきがけのいさを立てずば生きてあらじ、と頼よ朝との前で誓うのであるが、その調子には少しも悲壮なものはない、もちろん感傷的なものもない。傍若無人な無邪気さがあり、気持ちのよい無頓着さがある。 ―現代からの視点ょう1〜子一規九〇 二)。歌人・俳人。正ま岡お子規(一八六七「源平盛衰記」のこと。軍記物語。作者未詳。「平家物語」をいる。馬。小こ林ば やし秀ひで雄お平へ家け物語 いけきもりんうさかい5歴史と軍記109225

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