探求 文学国語 ダイジェスト版
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ろこ12「花生ちきゃるん歓 び」 「花ちゃん」を題材に書かれた、筆者による短編小説。一九九九(平成11)年発表。筆者が飼っていた猫の名前。元は捨て猫で、目に病気を抱えていた。「2生きる歓よび」を書いたとき私は死は特別な、人生でほとんど経験のないことだった、一九姿のようにかわいい。ペチャに続いてジジが年寄り猫になり、ペチャがいなくなり、ジジがいなくなったのは二〇一一年一月でそのとき花1ちゃんはまだ十二歳の手前だったが、「年寄り猫は気まま」「ペチャは気まま」「ジジちゃんは気まま」「花ちゃんは気まま」というフレーズを私たちは妻がネットで見つけて以来、ずうっと言い続けていた気がする。そして言い続けているうちに自分もだいぶ年寄りに近づいてきた、「年寄り作家は気まま」というわけだ。九九年から二〇一七年十二月の花ちゃんの旅立ちまでの間に二〇〇三年から、行方知れずになった猫を抜かしても七匹のほかの猫たちの旅立ちに立ち会った、従いこ兄も恩のあった年上の人も、同年代の友人たちも、父も旅立った、この死の頻度は考え方を変える。〈知〉のコミュニティへと55小説は、どう感想文にするかなど考えず、まずはただ読み、感じればいい―文学と向き合う際の基本的な構えについて述べた文章です。11 感触 ―― 世界のリアル10

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