探求 文学国語 ダイジェスト版
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ゃっょうょういり5 くくんち00000000100000001小内田説家百・閒随 筆家。風刺2餓鬼道 3肴蔬 4テクスト  「とこはれ、はどまうるいでう詩こだとか」。5霜降り 6こち 7押麦 一八八九~一とユーモアに満ちた作風で知られる。仏教において、生前の悪行のために落ちる世界の一つで、常に飢えと渇きに苦しむところ。「肴」は酒のつまみ。「蔬」は野菜。ここでは、書かれた文章、の意。魚や肉を熱湯にくぐらせてから、急冷したもの。メゴチ、マゴチなどの海水魚の総称。平たい体と大きなひれを持ち、海底に腹ばいになって生息する。大麦の外皮を取り除いて蒸した後、つぶして平たくしたもの。九七一。文学評論Ⅱ松まつ浦うら寿ひさ輝き餓鬼道としての詩1内う田だ百ひ閒け「2餓が鬼き道どう3肴こう蔬そ目も録ろ」というあの何とも形容しがたい異常なすごみを帯びたテ4クストを前にして、1こ0れはまるで詩だという感想を胸の中でつぶやく読者はかなりの数に上るのではないだろうか。実際、さはら刺身生し姜が醬じ油ゆたひ刺身かぢき刺身まぐろ霜5降りとろノぶつ切ぎと始まり「こ6ちめし/汽車弁当/駅売りノ鯛ためし/押7麦デナイ本当の麦飯」で終わるまで七十八行にわたって続く食べ物のリストを読み進めていくうちに、人は何かしら異様な感興が胸底から湧き上がってくるのを覚える。一行に一品ずつ*ぶっきらぼうに投げ内田百閒の「餓鬼道肴蔬目録」は、紛れもなく詩そのものである―祈願の呪文としての性格を帯びた、詩人の言葉の力を述べた文章です。1017243

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