探求 文学国語 ダイジェスト版
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その小説家が亡くなったのを知ったのは、ベッドの中だった。とりとめのない暗さが充満しているだけの長い夢を見ていたので、指も目も、何だかどこにある誰のものなのかがいまいちはっきりしないまま、枕元にあったスマートフォ載っていた。小さな文字。小さな一行。そこに書かれていることの意味はわかるのだけれど、それでもやっぱりよくわからない感じがして、ふうん、と口に出して言ってみた。それから、死んじゃったんだ、とも言ってみた。わたしはとっさに誰かと話をしたい気持ちになったけれど、こういうときに誰に電話をかけてどんなふうに話を始めればいいのかわからなかったから、そのまま黙ってその記事をぼんやりと見つめていた。けで済ませた云う々ぬ。ものすごくたくさんの読者がいる小説家だったから、たぶん今頃はあちこちで大騒ぎになっているんだろうな。そう思うと憂鬱だった。あと二時間で家を出なければならなかったけど、その日は何だかバイトへ行ってレジを打って人とあれこれやりとりしたり、ダンボールを潰したり返品したり伝票を仕分けたりする日ではないような気が何となくしたので、急なことで申し訳ないけれど熱が下がらないので休ませてほしいという連絡を入れてから何を考えるでもなくそのままベッドでぼうっとしていた。気がつけば、それから五時間くらい眠っていた。病気療養中だったことも知らなかった。葬式は近親者だ5んん 小説Ⅳ川かわ上かみ未み映え子こ日曜日はどこへぼンんをや手りにと取眺っめてて時い間たを確らトか1ピめッて、クの小一さ番な上画面に、でそニのュ記ー事スをが1022小説Ⅳ 〈Ⅰ部〉162

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