探求 文学国語 ダイジェスト版
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1し米て杉用 いる。2チゴイネル・ワイゼン Sarasate 一3ハイフェッツ Jascha Heifetz(と動かして、いくらか弾みのついた格好で壁面を歩き回り始めたのだ。蜘蛛の踊りいうほどはっきりした動作ではない、曲に合わせてどうこうというのではなく、何かこう、いらいらしたような、ギクシャクした足つきで、無闇とその辺を歩き回るのだ。浮かれだしやがった、と私は半ばあきれながら、お5 ―――00―かしがった。幾分、不思議さも感じた。牛や犬が、音楽人間の音楽にそそられることがあるとは聞いていたし、殊に犬の場合は、私自身実際に見たこともあるのだが、蜘蛛となると、ちょっとそのままには受け取りかね、私は疑わしい目つきを蜘蛛から離さなかった。曲が終わったら彼はどうするか、そいつを見落とすまいと注視を続けた。曲が終わった。すると蜘蛛は、卒然といった様子で、静ヒノキ科の常緑針葉樹。建築材とオリニストであるサラサーテ(八四四~一九〇八)が作曲した、管弦楽伴奏付きバイオリン独奏曲。スペインのバイ一九〇一~一九八七)。とちょっと思ったが、踊ると4一尺 Pablo de 5一九一五)。ファーブル ロシア出身のアメリカのバイオリニスト。約三十・三センチメートル。フランスの昆虫学者。「昆虫記」は、ファーブルが昆虫の習性について記した著作(㆒丷七九~㆒九〇七刊)。Jean Henri Fabre(止した。それから、急に、例の音もないするするとしたすばしこい動作で、元の壁の隅に姿を消した。それは何か、しまった、というような、少してれたような、こそこそ逃げ出すといったふうな様子だった。りいうのもおかしいが、こっちの受けた感じは、確かにそれに違いなかった。ブルの「昆虫記」を読んだことがあるが、こんな疑問への答えがあったかなかったかも覚えていない。音に対して我々の聴覚とは違う別な形の感覚を備えている、というようなことがあるのかないのか。つまり私には何もわからぬのだが、この事実を偶然事と片づける根拠を持たぬ私は、そのときちょっと妙な感じを受けた。これは油断がならな蜘蛛類に聴覚があるのかないのか私は知らない。フ5ァー卒然一八二三~だった、とはっき小説Ⅳ音声「チゴイ バネイルオ・リワンイ独ゼ奏ン曲」様子を想像してみよう。▼演奏を聴き、踊る蜘蛛の教材に興味・関心を持ち、深い学びにつながる資料を、QR資料として収録しました。151 虫のいろいろ1021

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