探求 文学国語 ダイジェスト版
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キャプションには、「人魚のミイラ(猿と鮭の死骸を縫い合わせて作ったもの)19世紀・日本」と書かれている。それは、自分の前で立ち止まる人々に、いつも同じことを言って聞かせようとする。今やそれは博物館の展示物として、人々を啓け蒙もする任を負っているからだ。「生きていると、ときに自分の望まない自分の像を押しつけられることがある。また、自分が理想の自分とはまったく違うものになり果ててしまうこともある。しかし、人生で一番大切なのは、ありのままの自分を受け入れてくれるパートナーに出会うことだ。そして、自分自身でもありのままの自分を受け入れること。それが死骸であれゴミであれ、何であれ。」それの言葉を聞く者はいない。人々がそれから学ぼうと期待しているのは、少なくともそういうことではない。しかし、それは気にしない。相手が聞いていようがいまいが、それはやるべきことをやり続ける。caption(1挿キ画ャ、プ展シ示ョ物ンな どに添える説明文。英語)。写真や憎悪*完膚なきまで霧散蒐集啓蒙小説Ⅲ※八や百お比び丘く尼に伝説※「はっぴゃくびくに」とも(福井県小お浜ば市・ほか多数)〔参考〕日本各地に伝わる人魚伝説大おお潟がた地区の人魚伝説川か平びら湾の人魚伝説(沖縄県石垣市)(新潟県上越市)小こ姓しょうヶが淵ふち「日本書紀」に残る日本最古の人魚伝説00000000   まうい00005人魚工場の人魚の中で、「それ」だけはアイデンティティの獲得に困難を来していた―自己の確立に必要なものは何かを問う小説です。107 アイデンティティ(滋賀県東ひがし近おう江み市)151019

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