探求 文学国語 ダイジェスト版
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三島由紀夫 三島由紀夫「近代能楽集」 ▼能の舞台を近代に移した戯曲を通じて、緻密な言語世界に浸ろう。係をまとめてみよう。また、どのような影響を与えているか、説明してみよう。中の動物の生態を見るよう」(九一・上9)について、小道具と時代背景|②電報メール等が一般化した現代では、電報の持つ意味合いは、内容そのものよりも文字や紙といった物理的な面が大きい。だが、「復讐」において電報に「身を乗り出」す奈津には当時の電報の感覚が反映されている。日本初の電報は一八六九年の東京・横浜間。モールス信号を文字に起こす方式ながらも、郵便よりもはるかに速い通信手段として、六年後には全国に普及した。高額な電報の価値はその速度にあった。特に日清・日露戦争以降、死去や危篤など、不幸な内容を急ぎ知らせるために使われることが多くなり、そういった象徴的な意味をも帯びるようになった。電報が来ると心がざわつく。そんな時代があったのだ。 一九二五(大正14)年~一九七〇(昭和45)年。小説家・劇作家。東京都生まれ。日本の古典と西欧の文学とを吸収し、理知的にして唯美的な作品世界を構築した。主な小説に「仮面の告白」「潮騒」「金閣寺」「豊ほう饒じょうの海」、戯曲に「鹿ろく鳴めい館かん」「サド侯爵夫人」などがある。本文は「決定版三島由紀夫全集」(二〇〇二年刊)によった。【発展】5末尾の治子の言葉が、「一家に新たな希望を抱それぞれの比喩の内容と効果を説明してみよう。かせ、一家を再び恐怖へ向かって鼓舞する」(九四・活動▼読む 下12)のはなぜか、考えてみよう。【読解】1近藤家の五人について、それぞれの人物像と関2山口清一は近藤家にとってどのような人物か、3近藤家と玄武の関係について説明してみよう。【表現】4「敏感な水鳥の家族のよう」(八七・下10)、「檻の     次の一冊小説Ⅲ①内容の把握②解釈の多様性学習の手引き像 近し、藤理家由のも五人含めはてそ話のし後合どっうてなみっよたうと思。うか、自由に想作品内の事物が映し出す時代背景を解説したコラムを配置しました。95 復讐詩人・峠とうげ三さん吉きちの危篤・死去を伝える電報(1953年3月)17

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