探求 文学国語 ダイジェスト版
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比較で深めるょう刻ことなり、肉落ち骨秀で、眼光のみいたずらに10炯け々けとして、かつて進士に登11第した頃のょう豊ほ頰きの美少年の面影は、どこに求めようもない。数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣ゃくょううううくいい5くのいんんいいいううんう みれ▼参考 六二ページ「中国参考地図」1地隴名西。 2才穎 3天宝 4虎榜 5江南尉 6狷介 7故山 8虢略 9峭刻 甘粛省東南部の才能が抜群有名詩人となる夢が叶わず発狂して虎に変身した李徴は、旧友の袁傪にに優出会い、孤独な嘆きを訴える―人間存在の本質を問う小説です。れていること。唐代の玄げ宗そ皇帝時代の最後の年号。七四二年~七五六年。官吏登用試験の合格者(進士)の姓名を記した札。江南道(唐代の行政区画。長江中下流の南側)にある県の、治安・税務等を担当する官。かたくなで、他人と協調しないこと。故郷。かつて住んでいた土地。河南省西部の地名。厳しく険しいさま。鋭く光るさま。試験に合格すること。1隴ろ西せの李り徴ちは博学2才さ穎え、天3宝の末年、若くして名を4虎こ榜ぼに連ね、次いで江5南尉に補せられたが、性、6狷け介か、自ら恃たむところすこぶる厚く、賤せ吏り*に甘んずる*を潔しとしなかった。*いくばくもなく官を退いた後は、故7山、8虢か略りに帰き臥がし、人と交わりを絶って、ひたすら詩作にふけった。下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に残そうとしたのである。しかし、文名は容易に揚がらず、生活は日を追うて苦しくなる。李徴はようやく焦燥に駆られてきた。この頃からその容貌も9峭し食のためについに*節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。かつての同輩はすでにはるか高位に進み、彼が昔、鈍物として*歯牙にも掛けなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の俊才李徴の自尊心をいかに傷つけたかは、想像に難くない。彼は12怏お々おと中なか島じま 敦あつし小説Ⅱ「生わは乃すち君き等らと伍ごを為なさんや〔人虎伝〕」(六〇ページ)なは山月記11登第 10炯々 1010小説Ⅱ 〈Ⅰ部〉46

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