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3190字2200字・三宅陽一郎 ・齊藤了文 キャラクターの身体、自動車の身体 複雑化する人工物  法律と責任   製造物責任法の理念から、現代の様相を捉える。複雑化する人工物―法律と責任齊さい藤とう了のり文ふみ実社会起きるとき、具体的な被害が生じ、「責任」の所在が問われることになる。また容易ではなくなっている。大きな船は一人で操縦することができないし、ユーザーが電化製品の使用法を誤る場合もある。そしてときには、その人工物の複雑さゆえ、原因が特定できない事故が起きることもある。術に失敗した場合、メスの製造者が責任を問われることはなかった。だが、人工物が複雑化した現在、その人工物を作った者の責任が問われることがある。このことを実際に起きた事故を通して見てみよう。その火元はカラーテレビだった。もちろん、エンジニアは、テレビが発火しないように人工物は、価1値を体現する物理的存在である。そのような存在が原因となって事故がしかも、時代とともに人工物は複雑化している。そして、それとともに、その操作も人工物が単純であれば、「責任」を負うのは使用者であった。医師がメスを使って手一九八八年、大阪市で、ある建設会社の事務所が全焼するという火災事故が起きたが、本文掲載より前の部分で、人工物に関して、「設計とは、機能、寸法、材質、コスト、保守、時間、安全性、信頼性などの多様な制約を按あ(平成二十九年法律第四十五号による改正)配ばする行為」であること、そして、その「制約」は「『価できる」ということが値』と言い直すことも述べられ平成六年法律第八十五号てい  製造物責任法る。1価存在値 を体現する物理的実社会との接点実社会実社会単元日常生活から社会全般に関わる実用的な文章を8教材、社会との接点を論じた文章を2教材採録しました。5 んい    『探求論理国語』 のご案内情報は受け取るもの、体験は生物が主体的に作り出すものという点で、情報と体験は異なる。人工知能と身体の関係を考える文章。人工物は人間の世界に介入し複雑化していくことで、責任の所在を不透明にする10412405 複雑化する人工物 ―― 法律と責任 (目的)第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。 (定義)第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者 (製造物責任)第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。 (免責事由)第四条 前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。 (消滅時効)第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。一 被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行使しないとき。二 その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したとき。2 人の生命又は身体を侵害した場合における損害賠償の請求権の消滅時効についての前項第一号の規定の適用については、同号中「三年間」とあるのは、「五年間」とする。3 第一項第二号の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起20教科書405ページ教科書412ページ

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