探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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単元の包括的なねらいと位置づけ、学習する教材の構成と特徴を示しました。ご授業にあたっての基本方針を立てる際などにご覧ください。単元のねらい単元の構成単元のねらい・単につ元いのて構の知成識を得︑漢文を学習していく基盤作りをすると同この単元では︑人間や人間関係を生き生きと描いた史伝を教材とし︑漢文の表現に慣れ読解力をつけることと︑史伝のおもしろさに触れることをねらいとする︒第一の読解力養成については︑「漢文入門」の単元での学習を踏まえつつ︑さらに一段向上させて︑次の点に留意する︒1 「漢文入門」で学んだ返り点について︑確認・復習を行う︒繰り返し読むことで︑長い文章に慣れる︒訓読の際には︑単に返り点をたどって一字ずつ読むのではなく︑単語のまとまりや主語―述語などの文構造を意識して︑意味を考えながら読む姿勢を身につける︒本文を書き下し文に改めたり︑それをもとに白文に訓点を付けたり︑白文で訓読練習をするなど︑さまざまな学習方法により漢文の文構造を理解し︑身につける︒基本句形︵使役・受身等︶を整理し︑理解する︒第二の史伝のおもしろさの発見については︑次の点に留意して史伝への興味が漢文学習の原動力の一つとなるようにする︒春秋・戦国時代という乱世における国と国とのダイナミックな関係や︑その中で生きる人々の生き生きとした赤裸々な姿を読み取る︒史伝に描かれた人間の信頼関係や相互不信︑差し迫ったぎりぎりの状況での判断や行動︑志を持った生き方などに触れて︑自分自身の生き方や考え方を深める︒史伝を通して︑これからの漢文学習の背景となる中国の歴史時に︑中国全般に対して目を開く端緒とする︒古来我が国でも広く読まれてきた「十八史略」の中から三編︑「史記」の中から一編︑とりわけ親しまれ︑故事成語としても人口に膾炙している史伝を取り上げた︒いずれも古代中国の分裂抗争の時代である春秋・戦国時代を舞台として︑国と国︑人と人とが強く結びつき︑また︑激しく反発し合って展開する話であり︑初学者にも理解しやすいと同時に︑興味を引くものである︒ 「鶏口牛後」は︑戦国時代︑秦の脅威におののく六国の諸侯を鄙諺を用いて巧みに説得し︑合従を成功させた遊説家蘇秦の話である︒当時の緊迫した歴史状況を理解させるとともに︑その中を巧みに生きた人物の生き方を読み味わわせたい︒ 「鶏鳴狗盗」は︑戦国時代︑斉の孟嘗君が秦に捕らわれたとき︑彼が養っていた食客の活躍により危機を脱したことを描いたものである︒彼は日頃から招き養っていた有能な士︵食客︶によって︑政治的な運命を切り開いたのであるが︑それによって︑士もまた個人の能力を自由に発揮することができたのである︒興味深いエピソードを通して︑戦国時代の様子を思い描かせたい︒ 「管鮑之交」は︑春秋時代︑斉の桓公を五覇の第一たらしめた名宰相管仲と︑彼の才能を認め︑若き日から彼を陰に日なたに支え続けた鮑叔牙との友情を描いたものである︒管鮑二人の交わりを通して︑真の友情について考えさせたい︒ 「臥薪嘗胆」は︑春秋時代︑南方の地の隣国である呉と越の二国の抗争の歴史を描いたものである︒二国の君主たちと︑その下で活躍した臣下たちの激しい生き方を描いたこの文章を読み︑史伝のダイナミックなおもしろさを味わわせたい︒76321 5432           鶏口牛後/鶏鳴狗盗管鮑之交/臥薪嘗胆*言語文化 指導資料(漢文編)史伝

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