探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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単元の包括的なねらいと位置づけ、学習する教材の構成と特徴を示しました。ご授業にあたっての基本方針を立てる際などにご覧ください。単元のねらい単元の構成単元のねらい・を単保っ元てのい構る︒成評論読解に慣れない生徒のために︑適切な高さの文部科学省「平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A」によれば︑「現代の国語」の「読むこと」の領域の教材は︑「現代の社会生活に必要とされる論理的な文章及び実用的な文章」であり︑この中の「論理的な文章」とは「説明文︑論説文や解説文︑評論文︑意見文や批評文など」のことである︒そもそも文章そのものが「論理的な文章」「実用的な文章」「文学的な文章」に分けられるのか︑あるいは文学と論理は対立する別項なのか︑さらに右の分類の中の説明文から批評文に至るものはどう異なるのか等々︑今後も継続的な検討を要する点が多いことは間違いない︒しかし︑少なくとも「現代の国語」においては︑これまでの国語教科書で評論として扱ってきた教材が大きな柱になることは確かである︒そして︑本単元はこの教科書『探求現代の国語』において︑詳細な読解を目指す第一の単元であり︑右のように「論理的な文章」の具体的内容は多様で茫洋としているが︑ここでは「論理的な文章」の重要な要素である「評論」の入門教材を配した︒国語教科書で扱う「評論」といえば︑学者がものした学問的な固い論文のイメージが強かろう︒もちろん︑それを読みこなすことも︑この科目の最終的な目標であろう︒しかし︑まずこの単元では身近な話題から説き起こし︑日々の生活にちょっとした新しい視点を加える力を持った論理的な文章を扱う︒ すなわち本単元の二つの教材は︑ともに学術論文ではない︒しかし︑これらの文章は情緒的な側面も持ちながら︑しかも論理性ハードルを設け︑以下の二教材に臨まれたい︒この二つの教材とは︑グラフィックデザイナーの佐藤卓による「ほどほどのデザイン」と︑詩人・評論家として著名な大岡信による「言葉の力」である︒佐藤卓はパッケージや企業ロゴなどのデザインを専門としており︑シンプルかつ印象的な手法で定評がある︒そのシンプルと似た発想を「ほどほど」や「空き」というキーワードで示しながら︑日本の箸や風呂敷について論じたのが︑「ほどほどのデザイン」である︒箸や風呂敷という身近なものへ目を向け︑それらにもデザインがあることに気づかせること︑そしてフォークやナイフ︑あるいは中国や韓国の箸などと比較しながら︑そのデザインの特徴を明らかにする展開が︑大きな特徴である︒さらに︑その論理が「豊かさ」の考察にもつながる︒また︑「ほどほど」という発想自体も︑肩に力が入りがちな生徒へのエールになるであろう︒大岡信の「言葉の力」も︑「ささやかな言葉」こそが「人を深く揺り動かす」という冒頭の一文が示すように︑小さなものへの着目からスタートしている︒それを通して︑タイトルである「言葉の力」について考えながら︑志村ふくみの染色や︑その色のもととなる桜のピンクを提示する展開が見事であり︑評論でありながら︑豊かな随想のような趣をも漂わせている︒いずれも︑ささやかな起点から読み進むにつれて新しい世界が広がる点で︑教科書の最初の評論単元にふさわしいと考える︒なお︑「言葉の力」については「︿知﹀の深化」として現代の詩五編を加えた︒大岡信の言う「言葉の力」を︑実際の詩において確認されたい︒          1ほどほどのデザイン/言葉の力〈知〉の深化 現代の詩 五編(二十億光年の孤独/崖/るるる葬送/帰途/わたしが一番きれいだったとき)*現代の国語 指導資料(評論)評論Ⅰ

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