探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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教材に関する設問例を、「標準」「発展」の2レベルでご用意いたしました。データは〈一太郎・ワード・PDF〉の三つの形式でご用意しています。日本には昔から「ほどほど」という実にいい言葉があります。もっとも子どもに対しては、ほどほどのところでやめておきなさいと諭してしまうよりも、飽きるまでやらせる育て方の方に一票を投じたいと思いますが、仕事の経験を積んでくると、この言葉の深い意味合いが少しずつわかってきます。「ほどほど」には、やりきらずに手前で留めておくといったニュアンスがあります。これをデザインにそのまま置き換えてみると、「ほどほどのデザイン」となる。それだけを耳にすれば、①あまりいいデザインではないような印象でしょうが、「ほどほどのレベルを徹底的にデザインする」、あるいは「ほどほどのデザインを極める」こととして捉えるなら、印象は一変するはずです。〔極め、そこで仕上げておくことなのです。この、少し手前でほどほどに留めておくデザインによって生まれる②「空き」こそが、人がものと自分なりのしかたで付き合うことを可能にする余地になります。その人その人なりにものをカスタマイズできるのだと言ってもいい。〔も違えば生活におけるあらゆる行動のとり方も一人一人違います。しかるに、完成しきって「空き」を持たないものを前にして、何だか壁に阻まれているみたいだと感じたことのある方は少なくないと思います。ものの方から一方的に「こう使え!」と偉そうに言わんばかりであったり、ものとしては美しいけれどまったく実用する気にならなかったりするのも、「空き」がないためなのかもしれないのです。メーカーやデザイナーは、ついそのものだけを一つの作品のように見なしての完成度を目指してしまう傾向があります。当然「空き」など生まれようがない。〔との関係の中で効力を発揮するのです。人の価値観はみな違うのだから、デザインは人それぞれの価値観で関わることができる、ほどほどの領域で留めておくべきなのではないでしょうか。そこに「空き」が生まれます。「ほどほど」というa曖昧な日本語の中に、実はデザインが成すべき大切なヒントが含まれているように思います。そしてこの「ほどほど」を、古来の日本の日常生活用具のそこここにかいま見ることができるのです。私たちの日常生活の中で何げなく使われている道具を人との関係で観察し直してみると、日本ならではのデザインが見えてきます。〕、使う人の能力を前提に成立しているもの。ごはんを食べるときに使う「日本の箸」はその代表格です。先を細くした二本D〔CBAの棒を使いこなすだけで、小さな米粒や豆や、けっこう大きなジャガイモまで挟むことができるばかりか、この単純極まる道具で肉を切り離したり柔らかいものを刺して割ったり、みそ汁をかき混ぜたり具のツルツル滑るワカメをつまみ上げて口へと運んだり、海苔で白米を包んだりと、③用途は多様で、小さな頃から経験を積んだ我々は、毎日のように二本の棒を無意識に使いこなしているのです。標準問題1〕ここでお話ししたい「ほどほど」とは、やりきることも承知しながら、あえて手前の程よいところを見〕本来デザインは、それ自体に価値があるわけではなく、デザインされたものと付き合う人〕人は、それぞれ価値観標準問題・発展問題1250点)*現代の国語 評価問題(評論)■■ほほどどほほどどののデデザザイインン■■【【】】次次のの文文章章をを読読んんでで、、後後のの問問いいにに答答ええよよ。。(配点

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