探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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3発展…発展的な位置づけとなる解説や資料を豊富に掲げました。評論・随想(「体験と思索」単元)教材については、テーマをより深く理解するための解説を掲げました。テーマ解説参考資料3発展ほどほどのデザイン①筆者の「塑する思考」本教材の原典のタイトルは﹃塑する思考﹄だが、その中にタイトルどおりの一節がある。本教材とも関わり、筆者の中心的な考え方を示している。評論Ⅰしかし、本文で話題にされる「箸」や「ふろしき」が、これらの番組で取り上げられただろうか。「箸」は和食とも関わり、その専門店もしばしば見かけるし、「ふろしき」もその織りや染色によっては職人仕事ともなり得るだろうが、これらを話題とし、作成にまで立ち入ったような番組は寡聞にして知らない。それはおそらくこれらが「ほどほど」のデザインであるからであろう。「箸」も「ふろしき」も、もちろん特定の発明者はおらず、しかし、伝統的に日本人の実生活の中で用いられ続け、現代でも、特に「箸」は欠かせないものである。そして、単なる「二本の棒」「一枚の正方形の布」であることが、ある種、デザインの極致と考えられる。だからこそ、作家の個性のようなものは体現しないが、その使い勝手については究極的に突き詰められている。そのことによって「ほどほど」であるとともに、「徹底的」「極める」という、逆説的な境地に達している。こうした解説をする筆者の独自の観点を、改めて「箸」や「ふろしき」を目の前にしながら、生徒と参と考も資料してしまうものだ、を意味するこの言葉は、人生におに確認してほしい。本文の後半では、これら「箸」や「ふろしき」を具教「材柔の」がテ、さーらマに二やつ、の筆性質者に・分け出ら典れるのこ理とは解、にあま体例として、生活の豊かさについて論じられる。それつなり知がらるれて資い料ませをん掲。げました。は、「便利」や「楽」とは対極にあるものだ。すなわち、教科書(二六〜三二)日本びいきの外国人の訪日を密着取材したり、日本に招待したりするテレビ番組がある。自ら来日したり、来日を切望したりする人たちであるだけに、訪日を果たして日本文化に感動する様子が描かれる。経済面などで自信を失った日本でも、文化的には独特の面があり、世界からの憧憬の対象でありつづけているように見せられて、正直、悪い気はしない。そうした、我々のナショナリズムが刺激される点には注意しておきたいが、訪日外国人の目を通し、新たに日本文化を見直せることも確かであり、本文読解後の「活動」において、これらのテレビ番組は、直接的な参考になるだろう。そうした訪日外国人が憧れ評価する日本文化は、大まかに三つのジャンルに分かれるように感じる。すなわち、テクノロジーやアニメなど、新しい日本の特徴として考えられるものであり、いわゆる「クール・ジャパン」として紹介されるものがある。さらに、二つめとして、日本の食文化、和食に関わるものが挙げられる。そして、芸術や工芸に関わる分野があり、これは幅が広いが、いわゆる職人仕事として括れるだろう。「箸」や「ふろしき」を見つめ直すことは、私たちの生活の中から「豊かさ」の実感をつかむ手がかりになるはずだ。 コンピューターのキーを押すだけで、さまざまなことが可能になり、車の運転さえAIに任せきりになりかねない時代であり、どんどん「便利」になっていることは確かだが、手放しでは喜べない。私たちの「豊かさ」がそこにあるのか。「箸」や「ふろしき」に着目することで、改めて考えてみてはどうか。 柔よく剛を制す。よく知られているように、しなやかな柔軟さが一見強そうな堅さを結果的には負かける他者への向き合い方にとかく当てはめられますが、 その二つとは、弾性と塑性。弾性は、「弾力がある」テーマ解説11   ―  00000   *現代の国語 指導資料(評論)

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