探求 現代の国語 ダイジェスト版
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1「ここでいう読みでは解釈や検 記討を録や通文して書の、それ自体の持つ価値を考察する学問。後見役 歌。ま舞た伎、の後役見者の役が着る黒い衣装。ここでは、表に出ない存在の意。くろご。ないことになるなぜか。味読 広義 吟味。」のは文1献学の基本概念である。読者は文学作品にとって〝2黒く子こ〟でしかないものになった。を読むことの意味は小さくなる。娯楽的な読み物については殊にそうである。読者は作者とは比べものにならない低い役割の担い手になっているのが近代である。そしてついに、書物にとって読者は不可欠な存在であることすら忘れられるようになってしまった。 例えば、文学作品を研究する場合、まず、作者が問題にされる。わからなければ、伝記的事実を調べる。どのようにして、その作品が書かれるに至ったかという事情なども研究される。作者と作品の歴史的事実を明らかにするためにしばしば大きな労力と時間が費やされる。これは広義の読みの作業であるけれども、それを行う人を読者とは呼ばない。作品は作者さえあればそれで成立するように考えるのが、広い意味での歴史的研究、 いったい、読む、とはどのようなことであるか、という吟味を受けることすらまれである。辞書によると、まず、 ⑴「文字や文を見て、それを声に出して言う。」というのが挙がっている。音読がもともとの読みなのである。次いで ⑵「文字・文章などを見て、それの表す意味を理解する。」ここでは意味が考慮される。〝論語読みの論語知らず〟はここでいう読みではないことになる。初めの⑴の意味なら読んだことになるのである。さらに15ろ1文献学2黒子151075 読む15評評論論ⅡⅡ

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