探求 現代の国語 ダイジェスト版
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佐さ藤とう 卓たほどほどのデザイン1「この言葉の深い意味合い」とは、どのようなものか。(フランス語)。 n微ua妙nなce意味合い。 日本には昔から「ほどほど」という実にいい言葉があります。もっとも子どもに対しては、ほどほどのところでやめておきなさいと諭してしまうよりも、飽きるまでやらせる育て方の方に一票を投じたいと思いますが、仕事の経験を積んでくると、この言葉の深い意味合いが少しずつわかってきます。「ほどほど」には、やりきらずに手前で留とめておくといったニ1ュアンスがあります。これをデザインにそのまま置き換えてみると、「ほどほどのデザイン」となる。それだけを耳にすれば、あまりいいデザインではないような印象でしょうが、「ほどほどのレベルを徹底的にデザインする」、あるいは「ほどほどのデザインを極める」こととして捉えるなら、印象は一変するはずです。つまりここでお話ししたい「ほどほど」とは、やりきることも承知しながら、あえて手前の程よいところを見極め、そこで仕上げておくことなのです。 この、少し手前でほどほどに留めておくデザインによって生まれる「空き」こそが、人がものと自分なりのしかたで付き合うことを可能にする余地になります。その人その**ど51く1ニュアンス102612「ほどほど」を突き詰めるところに日本人らしさが見える―デザインを通じて日本文化について述べた評論です。評評論論ⅠⅠ

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