探求 言語文化 ダイジェスト版
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かぐや姫の嘆き*5***1  ・八月十五日ばかりの月▼参考いといたく泣きたまふ。(六二・1)過ごしはべりつるなり。(六二・5)2さのみやは3この国4昔の契り 二六九ページ「月齢」 動作をする人を敬う言い方。作者→かぐや姫への敬意表す言い方。地の文では書き手(作者)から読み手(読者)へのかぐや姫→翁への敬意物語と軍記本文スコープかたくなに結婚を拒み続けるかぐや姫の告白を聞き、真情をくみ取ってみよう。1尊敬表現話し手書き手が、話題の中で、訳 (るか。ぐや姫は)たいそうひどく泣きなさ2丁寧表現話し手が聞き手に対して敬意を訳 (私は)過ごしてきてしまったのです。げず黙ってば 訳か そりのいらよれうよにう何かも、申いしや上、いられない。世界」を指 こすこ。では、「人間世界」「地上の 62 かぐや姫の美しさは評判となり五人の貴公子が求婚する。しかし結婚を望まないかぐや姫は、結婚の条件として難題を課し、五人の挑戦はすべて失敗に終わった。帝みの求婚も拒絶したまま三年が経過した頃、かぐや姫は月を眺めてはもの思いにふけるようになり、周囲の人々を心配させていた。かど 八1月十五日ばかりの月に出いでゐて、かぐや姫、1いといたく泣きたまふ。人目も、今はつつみたまはず泣きたまふ。これを見て、親どもも、「何事ぞ。」と問ひ騒ぐ。 かぐや姫、泣く泣く言ふ、「さきざきも申さむと思ひしかども、必ず心惑はしたまはむものぞと思ひて、今まで2過ごしはべりつるなり。さ2のみやはとて、うち出ではべりぬるぞ。おのが身は、こ3の国の人にもあらず。月の都の人なり。それをなむ、昔4の契りありけるによりてなむ、この世界にはまうで来たりける。今は、帰るべきになりにければ、この月の十五日に、16敬語学習の導入として、「竹取物語」から敬「かぐや姫の嘆き」を採録。生徒にもな意をじみのある物語の流れの中で、敬意の表す方向に注意しながら読み進めることが。できます。 前世からの因縁。宿縁。

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