探求 現代の国語・言語文化 国語教科書のご案内
17/48

5ろ15ま げ  5  法                  評論での学習を通じて得た知見を生かし、[参考]の文章 を読み解くことでテーマへの内容理解を深めます。  3 抱(抱負)娯(娯楽)殊(殊勝)吟(吟遊)慮(遠慮)漠(広漠)    2 重要漢字外山滋比古徴について考察す るとともに、修辞学・表現論・読者論などの分野でも活躍している。主な著作に「近論」「日本語の論理」「思考の整理学」「省略の詩学」などがある。本文は「古典論」(二〇〇一年刊)によ  【 読 解 】 1 「印刷術の発達普及」(七四・10)以降、書物と読者一九二三(大正12)年~。英文学者・評論家。愛知県生まれ。英文学者の立場から日本語の論いるか、説明してみよう。活動 ▼話す・聞く「解釈は読まれる回 数だけ多数多様になる。8 ) とあるが、他者と違った解釈をしたり、自分も読むたびに違った解釈になったりという経験がグループで話し合ってみよう。外と山や滋し比ひ古こ読む文1献学の基本概念である。読者は文学作品にとって〝2黒く子こ〟でしかないものになった。 「その本は私が書いた。」と言えば、聞いた人は強い印象を受ける。一種尊敬の念を抱くかもしれない。大変な仕事をしたものだと少なくとも考えるであろう。それに対して、かりに、 「その本は読んだ。」と言っても、聞いた人は何とも思わない。単なる情報である。だからどうした、というような関心は抱かずに、ああ、そうかと聞き流すにとどまる。け取られていたに違いない。本を読むことがほとんど学者、高い教養人であるのと同じ意味を持つこともありえたのである。者になる。たくさんの本をゆっくり時間をかけ味読するようなゆとりがない。読み流す、読み飛ばす。何が書いてあるかわかればよいとする読書が増えるのはやむをえない。本を読むことの意味は小さくなる。娯楽的な読み物については殊にそうである。読者は作者とは比べものにならない低い役割の担い手になっているのが近代である。そしてついに、書物にとって読者は不可欠な存在であることすら忘れられるようになってしまった。的事実を調べる。どのようにして、その作品が書かれるに至ったかという事情なども研究される。作者と作品の歴史的事実を明らかにするためにしばしば大きな労力と時間が費やされる。これは広義の読みの作業であるけれども、それを行う人を読者とは呼ばない。作品は作者さえあればそれで成立するように考えるのが、広い意味での歴史的研究、ある。辞書によると、まず、もとの読みなのである。次いで1「ここでいう読みでは考察する学問。後見役 歌。ま舞た伎、の後役見者の役が着る黒い衣装。ここでは、表に出ない存在の意。くろご。十人の読み手が読めば、厳密にいえば、十色の違った解釈になるのが自然、当然である。同じ人間でも、読むたびに、違った解釈になることも避けることができない。読みは一回一回、独自の解釈を生じて成立する。解釈は読まれる回数だけ多数多様になる。そのうちの一部、あるいは一つだけの解釈が正しくて、ほかのものはすべて誤解であるといった考え方の上には、言語表現は立脚していない。むしろ、さまざまな解釈を許容するところにその特性があると考えることができる。数学の文章は解釈の余地が少ない。したがって、読んでおもしろくなく、感銘、感動することはない。法律の条文は、それに比べると、解釈を許す部分があって、古来、法3解釈学という学問もあるくらいであるが、読み手の解釈に対して制限的であるところから、読んでおもしろい条文というものは考えにくい。最も活発な解釈を許す、むしろ、誘発するのが文学的表現である。不確定要素が特に用意されている。当然、解釈がなくてはわからないが、解釈をすること自体が喜びを与えて、表現は美的価値を持つ。詩歌は、写実的散文よりも不確定要素を豊かに持つために、より多く解釈を必要とする。そのために、芸術的なおもしろさをより多く持つのである。 context(英語のか。ト」とは、ど2コンテクスト背 景。3法解釈学な適用に役立 め、個々の法明確化し、全の意味を解釈化を図る法律付随立脚誘発埋(埋没)銘(銘柄)文献学2黒子▼解釈の多義性「最も活発な解釈を許す、むしろ、誘発するのが文学的表現である。不次の一冊石いし黒ぐろ圭けい「『読む』技術」 ▼多様な「読み」を知り、解釈することについて理解を深①表現の工夫②話し合いの工夫瞭(瞭然)充(充実)学習の手引きとの関係はどのように推移したか、まとめてみよう。筆者の考えている、「読みという営為」(七六・8)の中に含まれる「高度の読み」(七六・12)とはどのようなものか、説明してみよう。筆者は、言語表現を解釈するという行為が本来的に持っている特性を、どのようなものと考えて 〈知〉の深化要素が特に 用意されている。 」(七八・15)とあるが、八〇ページ〔参考〕「神様」について、この「神というタイトルの意味を自分なりに解釈し、そのように解釈した根拠を説明してみよう。1010101574 ⑴「文字や文を見て、それを声に出して言う。」というのが挙がっている。音読がもと17 いったい、読む、とはどのようなことであるか、という吟味を受けることすらまれで 例えば、文学作品を研究する場合、まず、作者が問題にされる。わからなければ、伝記解そ釈れや自検体 記討の録を持や通つ79 読むし文価書て値の、を 印刷術の発達普及によって大量の書物が出回るようになると、読者はいわば本の消費 書物が少なく、入手の困難な時代では、本を読むのは今よりももっと重要なことと受〈知〉の深化教科書80ページ教科書78-79ページ教科書74ページ評評論論ⅡⅡ評評論論ⅡⅡ

元のページ  ../index.html#17

このブックを見る