
毎回,ある職業の人をとりあげて,その素顔に迫ります。
第10回 公務員(地方公務員編)
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今回は,公務員を取り上げます。
公務員とは,公僕(こうぼく)=公衆に奉仕する人という意味で,実にいろいろな仕事があげられます。
具体的には,市役所,県庁,省庁の職員のほかにも消防,警察,裁判官,自衛官・・・などで,地域住民のため,国民のため,日本のため・・・に働きたいという志が掲げられる仕事です。
ところで,みなさんの学校は公立ですか?私立ですか?
公立の学校の先生,事務室で働いている方も公務員です。
今回は,その事務室で働いている方にインタビューしてきました。
東京都の教育庁に所属するHさん(男性,大卒)です。
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Q まず,東京都の公務員試験について教えてください。
*(注)詳細は都の採用情報を必ずご確認ください
| T | 21〜27歳くらい |
| U | 19〜23歳くらい |
| V | 17〜20歳くらい |
T・U・Vと年齢によって受験資格がわかれています
(表参考→)。
Tは大卒,Uは短大・高専卒,Vは高卒といわれることもありますが,必ずしもそうではなく,大卒の人がUをうけてもいいんです。
どうしても東京都の職員になりたい場合,年齢さえ満たしていればTとU両方受験することもできるので,合格の可能性が広がります。実際,私も両方受けました。
採用後は給料が違うんですが,仕事の内容はT・U・V関係なく同じです。昇給に関しても,試験にさえ合格すれば,まったく関係なく昇給していきます。ただ,細かいことですが,第一段階の主任試験を受けるには,Uの人だと7年以上のキャリアが必要ですが,Tの人だと5年で試験が受けられたり・・・という違いはあります。
Q 採用後の配属に関して教えてください。教育庁を希望していたのですか?
そういうわけではないんです(笑)。一応希望調査はありましたが,どこに配属されるかはまったくわかりません。
東京都の仕事はほんとうに幅が広いんです。
清掃・教育・主税・水道などは,都民のみなさんと接する機会が多いのでいわゆる「現場」と言われてますが,この現場で働いている人が多数を占めていて,全体の人数から見ると,新宿の「都庁」の中で働いている人って,本当に少ない割合なんですよ。
私は都立高校の事務室で働いていますし,同期の仲間も都立病院にいたり,中央卸売市場で野菜を売っていたり,自転車に乗って水道料金を徴収してまわったり・・・と本当にいろんな仕事をいろんな場所でしています。
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Q 今やっている学校事務の具体的な内容を教えてください。
学校の事務は大きく分けて経理と庶務にわかれます。
経理はお金を管理する仕事,庶務は生徒や保護者と接する仕事です。
例えば,先生から「黒板とチョークが足りないから買ってほしい」と言われれば,経理が見積もりをとって注文をします。学校で何かを買う時は必ず事務を通して買います。理科の実験道具が揃っていて実験がスムーズにできるのも,学校事務の経理がきちんと動いて仕事をしている証拠なんですよ。
庶務は入学・卒業・留学・転校の手続き,授業料の徴収などが主な仕事です。入試の時期は,願書の手続き処理で経理も庶務もてんやわんやです。
普段は8時30分開始,17時15分終了です。
ようやく都もパソコン1人1台が普及してきて。朝はまずメールチェックから始めます。
都は「文書主義」で,全部文書で仕事を進めなければならないので,一日にすごい量のメールがとんできます。
私の場合は教育庁から「どんな部活があって何人くらい所属しているのか,いくら予算が必要かを調査してください。○月×日締め切りです。」などの学校内部のお金に関する調査が多いですね。締め切りを過ぎてしまうと大変なので,忘れたり間違えたりしないよう,チェックは欠かせません。
業者の方が来たら一緒に立ち会って納品を確認したり,契約書に必要な書類を作成したり・・・と,一日のうちでもいろんな仕事をして,しかも毎日違った仕事をしていることが多いです。これといった決まりパターンはないです。
夏休みなどの長期休暇中も事務員は学校にいるんですよ。
例えば大きな音がでる工事など,普段みなさんが授業をやっているときにはできないことをこの時期にやります。先生も生徒もいないのでどこかしらのんびりした雰囲気ではありますけどね。
Q 今の仕事をしていてよかったと思うことはありますか?
自分の時間が取れることです。これは私が公務員になりたいと思った理由でもあるんです。
今は大量の仕事も特にないので,集中してとりくめば,残業はほとんどしなくても仕事が終わります。また,職場の人間関係も,毎年のように誰かが異動するので(一箇所には3〜5年しかいないそうです),べったりした先輩後輩関係もできにくく,無理に飲みに誘われたりすることもなく,良い意味で「それぞれ・・・」という感じです。
なので,やはり民間企業の方に比べると自分の時間が確保できるほうかな,と思っています。
あ,でもそのぶん,給料はやっぱり民間に比べると安めだと思いますよ(笑)。
昇給も,試験に合格するかどうか「自分の力」にかかってくるので,若い人同士の蹴落としあいみたいなものはまったくありません。そこも良いとこではないでしょうか?
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Q では,今の仕事をしていてつらかったことはありますか?
私は無いですね。壁がないわけではないですが,なんとなく乗りこえてきてます(笑)。
もし自分が,例えば「どうしても福祉の仕事がしたい」と強く思っていたりしたら,学校事務だと期待はずれ感も大きく,つらいかもしれませんね。私は一つのことをつきつめてやるよりも,なんでも幅広くやるほうが自分に向いていると思っているので,特に「コレがやりたい」といった仕事の希望がないんです。だからつらいこともそうないのかもしれませんね。
他の仕事の人たちは,それぞれにつらい経験もあると思いますよ。個人による受け止め方も違うと思うので。
都はいろんな仕事がありすぎて,この先自分がどこに異動して,どういう仕事に携わるのかまったくわかりません。同じ仕事をやり続けることもほとんどありえません。私は「どこでもどんな仕事でもやってやろうじゃないの」という自信は持ってるつもりです。
40代・50代の方で,今まで20年間まったく違う畑にいて仕事をしていた人が,学校事務に異動になる場合もあります。
極端にいえば,そんな方でも学校事務に関してはキャリアゼロの状態で,せっかく今までやってきた仕事が生かせない・・・でも異動したからにはやらなきゃいけないというケースもありえます。
いかに臨機応変に柔軟に物事にとりくむことができるかが必要なんです。都の場合,自分が異動した先でその仕事にベストをつくすことが大事じゃないかなと思っています。
Q 高校生にアドバイスをお願いします。
勉強することが前提で,ちゃんと遊ぼうということです。
公務員とはいえ,学生の頃に比べたら全然時間は足りません。いろんなことを知って,自分の体で体験して,自分のモノにしていくこと。
サッカーも好きなアーティストのライブも,「生」で見て何かを感じることって大事だと思ってます。
本や雑誌で読んでつい知ってるつもりになってしまうけど,「生」はやっぱり違いますから。それに,公務員の仕事は本当に幅が広いので,視野を広くもっていろんな経験をしていないと,いざ仕事をやるときにうまく対応できないのでは?
面接の時に感じたのは,きちんとコミュニケーションをとれるかどうか見られているのかな,ということです。
「都の財政は苦しいんだけど,どうしたらいいと思いますか?」などの難しい質問もされましたが,答えの内容よりは,話し方とか態度とか「受け答え」ができるかどうかを見ていたのかも。
都民と接する仕事なので,都民ときちんと会話ができ,誠実な対応ができるかどうかが重要なのかもしれませんね。
ライバル会社というものがないかわりに,「都民の目」を常に意識しなければいけない仕事ですから。
<<<<<取材後記>>>>>
もし現都知事のカジノ構想が実現したらぜひそこで働いてみたいというHさんでした。
民間業者のかなりベテランの営業マンに「お願いします」と頭を下げられることが多いそうで,若い人でも,まるで自分がえらくなったかのように勘違いしてしまう人も中にはいるんですよ,というお話が印象的でした。
なんでもこなせる「ジェネラリスト」の能力と,目の前の仕事に関しては「スペシャリスト」でとりくむという,正反対の二つの能力を時と場合によって使いわけなければならない,バランス感覚の必要な仕事だと感じました。
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