毎回,ある職業の人をとりあげて,その素顔に迫ります。
第六回 キャビンアテンダント



 今回は,キャビンアテンダントをとりあげます。
 現在放送されているテレビドラマ「GOOD LUCK !!」でも人気の航空業界が舞台になっていて,パイロットやキャビンアテンダントの様子を垣間見ることができますね。
 実際のお仕事の現場はどんな感じなのでしょうか。
 お話を伺ったのは,キャビンアテンダント歴6年,国内線乗務のYさん(26歳)です。

Q キャビンアテンダント(以下CAと略:注「シーエー」と呼ぶそうです)の仕事をしようと思ったきっかけは?

空の旅♪ ★ 確か中学生の頃だったと思うんですが,飛行機に乗ったときにCAを見て「なんて素敵な女性なんだろう・・・!」とあこがれたのかきっかけです。そのときからCAになりたいな,と思っていました。
 でも周りを見ると,私のようにCAにあこがれて入社してきた人ばかりではないみたいで,「たまたま合格したから」なんて人もいますよ。

 就職活動のときは,航空会社以外もいろいろまわりました。あくまでも私個人の感想ですが,どこかの会社の就職試験より,CAのほうが合格しやすいのでは?と思ってました。女性を一気に400人〜500人も採用する会社って他にないでしょう?受験者数は確かに多いですけど。

Q どうやったらCAへの「狭き門」をくぐり抜けられるのでしょうか?

★ 面接のときは「とにかく笑顔」。CAはお客様と接する仕事なので,特に第一印象が大事です。採用試験の中では筆記試験もありますが,学力よりも第一印象のほうが重要視されていると思います。

 身体検査もありました。身長も一応規定が158cm〜160cmと定められています。少々足りなくても大丈夫みたいですが,155cmではダメみたいです。他には目をつぶって片足をあげたまま数秒間静止したり,目をつぶって50歩歩かされたりとかしました。揺れる機体の中での仕事ですから,身体のバランス感覚があるかどうかをチェックします。

 外国の航空会社だと,外見が非常に重視されるところもあります。制服として深いスリットの入った民族衣装を着なければいけないこともあるので,そこはまず衣装が似合うことが第一条件!面接官の手前15cmくらいのところまで接近させられて,頭の先からつめの先,肌の感じや顔の表情と,あらゆるものをくまなくチェックされたこともあります。

Q 入社してからはどんな訓練をするんですか?

★ 国内線では約一ヶ月,緊急事態に備える訓練をします。
 火災のときに消火器をどう使うか,脱出の際にはどうやってドアを開けるか,急病人が出たらどう対処するか,などをみっちりやります。実際フライトしていると貧血など急病で倒れるお客様はしょっちゅういらっしゃいます。
 緊急事態を想定した保安訓練は,いざできなければ人命にかかわる一大事になるので,できるまで必ずやらされます。空気がぴりぴりと張り詰めていて厳しい雰囲気ですよ。この訓練が嫌でやめてしまう人もいるくらいです。私もこの訓練が今までで一番大変でした。CAの仕事は主にサービス・セールス・保安の3つですが,一番重要な仕事は保安です。初めはこのギャップに驚くCAもたくさんいると思います。

 一般的にみんながイメージするCAの仕事はお客様に飲み物をお配りしたりする「サービス」だと思いますが,訓練期間中は,サービスの練習はほとんどありませんでした。1ヶ月の訓練中に1時間やったかやらないかくらいです。あとは訓練期間後4日間のOJTで,先輩にくっついて教わるだけ。5日目からはひとり立ちです!

Q 実際にCAの仕事について,想像と違ったギャップはありますか?

★ 想像以上に「肉体労働」です。きれいなイメージとは全然違います。
 重たい荷物を持ち上げなくてはいけないし,離陸・着陸のとき以外はずっと立ってるし。お客様を下ろした後・乗せる前の短い時間に機体の中でお昼のお弁当をガーッと食べなくてはいけないし。最初は5分,10分ではとても食べられなかったんですけど,今はもう大丈夫です!お弁当を見て,「何から食べて何をどれくらい食べよう」と瞬時に判断できるようになりましたから。搭載さん(→♪CAのまわりの人々♪を参照)には「CAさんはお弁当星人だ!」なんてよく言われます。
 本当にハードなので,体のためによく食べよく眠ることが大事です!

Q 具体的にはどういうシフトで働くのですか?
 
出勤:5:00〜9:00くらい
退社:13:00〜16:00くらい
 出:11:00〜15:00くらい
退:20:00〜23:00くらい
  

★ 会社によって違いますが
「早番で4日働いて2日休み,遅番で4日働いて1日休み」
「早番で3日働いて1日休み,遅番で3日働いて2日休み」
などと,おおよその基本パターンが決まっています。(表参照)
 早番の日は3時に起きて会社に向かうこともあります。一日のフライト数は,平均3フライトです。例えば,東京→福岡→東京→広島とか。

 地方にステイするのは月に7日〜8日くらいです。会社にはステイ用のバッグを置いてあって,いざステイが決まるとそれをもって行きます。今はステイ先のホテルでも必ずといっていいほどバスタオルやシャンプーがおいてあるので,自分で持っていくのは基礎化粧品や着替えだけです。けっこうコンパクトですよ!部屋は誰かと相部屋ということはなく,必ず1人です。

 ステイ先ではみんなでごはんを食べに行ったりすることもありますが,あくまでも「勤務時間外」なので,無理には行かないし,誘ったりもしません。遅番・早番といろんなシフトの人がいますし,睡眠時間も短くても大丈夫な人もいれば,長くないとダメな人もいます。各自できちんと体力調整をしないと翌日の仕事に響くので,お互い邪魔できないんです。

Q CAの仕事をやっていてつらいことはありますか?

★ 体調管理です。早番の一日目の朝は本当に大変でいまだに慣れません。
 CAの仕事は1ヶ月ごとにシフトが組まれています。もちろん事前に有給休暇の申請はできますが,急に当日かぜをひいたり体調が悪くなったからといって休むことはできません。ストレスや睡眠不足で体を壊す人もいますよ。ステイもあるので,枕が替わると眠れない人はつらいでしょうね。決められたとおりにやるしかないと覚悟を決めなければいけません。いつステイになるかわからないので,予定を立てられないことも大変です。

Q 逆にCAの仕事をしていてよかったなと思うことは?

★ いろんなお客様,CAに会えることです。毎日違うお客様と違うクルー(チーム)で空を飛ぶので常に新鮮な気持ちが保てます。CAは東京だけでも2000人くらいいると言われているので,まだ会ったことのないCA,一緒に仕事をしたことのないCAもいっぱいいるんです!同じCAから見ても「素敵だな」と思うCAがたくさんいます。私も他のCAさんからそう思われるようなCAでありたいと常々思っています。

 あとはミーハーな意見になってしまうけれども,普段は会うことのできない芸能人やVIPの方にサービスする機会があるということ,いろんなところに行くことができることです。

 たまにお客様に「○○の便に乗ってたCAさんですよね?」と声をかけられるときがあります。そんなときはとっても嬉しいですよ!またこのCAさんに会いたいな,またここの飛行機に乗りたいなと思ってもらえるCAでいたいです。

Q 結婚・出産後はCAを続けられますか?

★ 続けている先輩方はけっこういます。仕事と家庭を両立している姿を見て「すごいなぁ」と思ってしまいます。

 育児中だからといって特別に優遇されたりすることはなく,あくまでも他の人と同じように扱われるので自分がやろうと思えばいくらでもできます。ただ,家族や周りの人の理解がないと絶対続けられないですね。急なステイで3日間帰って来れなかった・・・というケースもないわけではないので。

 余談ですが,CAは,妊娠がわかった瞬間にシフトから外れて妊娠休暇に入らなければいけません。空の環境はあまり胎児に好ましくないし,重たい荷物を持ったりできないので,事実上仕事ができなくなってしまうからです。

Q どんな人がCAに向いていると思いますか?

★ 人に何かしてあげたい人,接客が好きな人,体力のある人,ちょっと図太いくらいの人がCAに向いてると思います。

 普通の会社勤めと違って,機長やチーフパーサーなどCAの上司は毎日変わります。クルー(チーム)も毎回違ったメンバーで構成されます。
 チーフパーサーが変わればどのサービスを重点的に行うかポイントが変わってくるので,その方針に合わせて自分もサービスポイントを変えなければいけません。チームで仕事をするのでチームの和を保てるように柔軟に相手に合わせつつ,でも自分を見失わないことが大事です。自分のペースをしっかり守れる人でないと体力的にも精神的にもこの仕事を続けていくのは大変です。血液型を聞いてみると,偶然だと思いますがB型とAB型の人が多いような気がします!

Q 高校生時代にやっておきたいこと・考えておきたいことは何かありますか?

★ 何かボランティアをやってみるといいのではないかと思います。

 飛行機にはいろんなお客様が乗っていらっしゃいます。一口に「障害者」といっても,体の不自由な方・目の見えない方・耳の聞こえない方・・・とさまざまです。初めてそういう方に接したときは,何をどうお手伝いしたらいいのか全然わかりませんでした。例えば目の不自由な方へは手をつないでアテンドするより,自分の肩につかまってもらったほうが歩きやすいとか,お手洗いの方角を説明するにも「3時の方向です」と言った方が伝わりやすいとか。こういうことは,自分が接してみないととっさに対応できません。今は手話のできるCAがとっても重宝されています。

 あとは,VIPの方とお話しても恥ずかしくない言葉使いを身につけておくといいと思います。

 学歴に関しては,CAの受験資格を「短大卒以上」と定めているところが多いのではないでしょうか?専門学校なんかもありますが,それだと受験資格にたりなかったりする場合があるので,わざわざ自分で可能性を狭めることはないよう,短大以上に進学することをお勧めします。

♪ CAのまわりの人々 ♪

パイロット】・・・飛行機を飛ばします。キャビンに出てくることはありません。
整備士】・・・機体に不具合が見つかると報告して直してもらいます。特定の整備士の名前を覚えるくらい頻繁に同じ人に接する機会はないとのこと。
地上係員(グランドホステス)】・・・チェックインをしたりゲートで安全チェックをしたりします。
地上係員とCAの橋渡しをする係員】・・・機体乗り口のところに立って,お客様が乗り終わるとドアを閉めて見送ってくれます。
機内清掃員】・・・機内のお掃除をしてくれる人
搭載員・・・飲み物や食べ物を機内に積み込んでくれる人
スケジュール管理員】・・・CAのフライトスケジュールを管理します。

《取材後記》
 さっそうと歩く姿と,会話の中でところどころに使われる丁寧な言葉が「大人の女性」という雰囲気をかもし出していて,「さすがCA!」と,同性ながら惚れ惚れしてしまいました。
 ドラマについて感想をうかがったところ,「理想をきれいに描いている」との印象だそうです。CAのみなさんもこのドラマを身近に感じていて,見ている方がけっこう多いそうですよ!




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