毎回,ある職業の人をとりあげて,その素顔に迫ります。
第3回 看護師



 今回は,「看護師」にインタビューです。
 子どもの頃,病気になったりケガをしたりすると,親に連れられて,不安な気持ちでいっぱいになりながら病院に駆け込みました。そんな時,「どうしましたか?」という看護師さんの優しい言葉と笑顔に,子どもながらほっとしたものです。
 第3回は,そんな誰しも一度はお世話になったことがあるだろう,看護師さんたちのお仕事の様子を伺ってきました。
 取材におじゃましたのは,「大塚台クリニック」(東京都)です。
 こちらの病院は,主に「透析」を中心に行っている病院です。

*看護師
今までの看護婦または看護士。平成14年3月に施行された「保健婦助産婦看護婦法の一部を改正する法律」により,男女関係なく「師」と呼ぶことになった。

Q 一週間のお仕事の流れを教えてください。
(例)
早出遅出夜勤早出遅出夜勤休み
 ★日曜日はお休みです。ただし,祝日はお休みではありません。
病院で行う透析にあわせて,早出・遅出・夜勤の日があります。
早出の日 9時20分出勤,17時退社
遅出の日 11時出勤,19時半退社
夜勤の日 14時出勤,22時半退社


インタビューに答えてくれたみなさんです Q なぜ看護師の仕事をしようと思ったのですか?

★四年制の大学に通っているとき,大学病院の腎センターで看護助手のアルバイトをしていました。
   最初は「時給が高いから」くらいの,軽い気持ちで始めたのですが,実際にそこでアルバイトを始めたら,患者さんからいろんなことを聞かれたんです。
 アルバイトの私も,看護師さんと同じブルーのユニフォームにナースキャップをかぶっていましたから,患者さんからみれば,誰が看護師で誰がアルバイトなのかわからないし,関係ないんですよね。
 その時,患者さんから聞かれたことに答えられないのがとってもじれったくて,なんとかしようと思い,看護の勉強を始めることにしました。四年制の大学はその時に辞めました。

★私が中学生のとき,親戚が入院したことがありました。その時病院で働いていた看護師さんの姿にあこがれました。中学卒業後は,看護師の道をめざすべく,高校の衛生看護科に入学しました。

★小児科にかかっていたとき,とってもやさしい看護師さんがいて,子どもの頃からその看護師さんにあこがれていました。
高校は「福祉コース」のある学校に進学して,看護だけではなく,介護や障害などいろいろ体験してみたのですが,その結果,私はやはりナースがいいと思い,決めました。

★手に職をつけたかった。(*この答えが多いようです。みなさんうんうんと,うなずいていました)
 美容師と迷ったけれど,親戚に医者が多かったこともあり,看護師に決めました。


*看護師になるには,いろんな道があるのですね。おもなコースを紹介します
おもなコース図
 
Q こちらの病院が行っている「透析」とは?
 体にたまった老廃物を外に出す治療のことです。
 腎臓は,人間の体の中の老廃物を尿にして体内から外に出す働きをしているのですが,その腎臓の働きが弱くなると,体から老廃物がでなくなってしまいます。その老廃物を外に出すのが「透析」です。


透析室の様子です患者さんの血圧を測定中カルテをチェック中です

Q 私たちが連想するいわゆる「一般病棟」との大きな違いはなんですか?
 患者さんが退院しないことです。
 透析は,だいたい週に3回,1回に4〜5時間かかる治療です。その治療をずっと何年も続けるので,患者さんとのお付き合いは非常に長期間になります。
 病気のことはもちろんですが,お互いの家族構成や趣味など,プライベートなことまで話すくらい,とっても密度の濃い人間関係ができます。軽いケガ程度なら,傷が治れば退院できるので,ちょっと気の合わない患者さんがいても,なんとか顔をあわせなくて済みますが,ここはそういうわけにはいきません(笑)。
 医療ミスが許されないのは当然のことですが,ここで一度何かミスをしてしまうと,そのことを患者さんがずっと覚えているんです。自分たちの命にかかわることなので,当然ですよね。そうすると今まで築いてきた信頼関係が,一気に崩れてしまいかねません。なので,ここでミスをするとちょっとやそっとじゃ立ち直ることができません。

Q 看護師を目指す高校生へアドバイスをお願いします。

★視野を広くもちましょう。
 患者さんは,ひとりひとりいろんなバックグラウンドをもっています。
 たとえば,大学の教授も,ちいさな子どもも,職人さんたちも,みんな同じ患者として病院にいるのです。看護師は,どんな人がきても驚かず,冷静に対処しなければなりませんから,患者を差別せず,いろんなバックグラウンドを理解できるだけの知識と包容力をもたなければできません。

★世の中のニュースには敏感に。
 特に医療事故のニュースは,患者さんは必ずチェックしています。いつわが身にふりかかるやもしれないからです。患者さんとのコミュニケーション・信頼関係のうえで,そういうニュースを知っておくことは欠かせません。

★患者さんとのコミュニケーションは,看護師になったらやらざるをえないので,人と話すのが苦手,という人でも実地訓練で大丈夫ですよ!



Q 看護師のまわりの人びと

 ドクター・・・お医者さん。医療には欠かせない存在です。
 臨床工学技師・・・ドクターの指示の下,血液透析装置や人工呼吸器,人工心肺装置の操作や点検をします。
 医療事務・・・受付で会計をしたり,保険請求の資料を作成したりします。
 薬剤師・・・薬を作ったり管理したりします。
 臨床検査技師・・・採血や採尿の検査結果を分析します。
 メディカルソーシャルワーカー・・・患者さんの病気のことだけでなく,経済的・社会的なことなども含めて相談にのり,心理面から患者さんや家族をサポートします。

*基本的に病院が大きくなればなるほど増えていきます。このようにいろんな立場から医療に携わることができるんですね。

Q 院長先生のひとこと
院長先生です。カメラを向けるとポーズをとってくれました。
★医療分野は人余りなんて言われることもありますが,私はまだまだ人手不足だと感じています。
 現に,最近は「一家に1人は看護師に」なんてことも言われることもあるんです。これから高齢化が進むと現在以上に人手が足りなくなってしまうでしょう。
 実際,医療分野はいわゆる「きつい」仕事も多いので,なかなか女性が仕事と家庭と両立しようとすると,難しいようです。
 私たちはこれからもっと,若い人たちが医療の仕事についてくれるよう,また,結婚や出産しても仕事を続けられるような環境作りをしていかなければならないと思っています。


≪取材後記≫
 ★人気の漫画(テレビでも放映されましたね)「ナースのお仕事」について感想を伺ってみたところ,「医者と結婚する看護師なんてほとんどいません!」との答えが返ってきました。実際は,技師さんや他の職種の方と結婚するケースの方が多いそうです。
 今回取材させていただいた「大塚台クリニック」は,真剣な仕事の合間にも,和気あいあいとした雰囲気が感じられ,(おちゃめな院長先生のお人柄の影響でしょうか?),きっと患者さんたちとも良い関係が築かれているのだろうなぁ,なんて思いました。




バックナンバー(2002.09)(2002.10)


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