毎回,ある職業の人をとりあげて,その素顔に迫ります。
第1回 教科書編集者



学校で皆さんが何気なく手にしている「教科書」。この教科書は,いったいどのような人たちによって,どのようにつくられているのか,考えたことはありませんか?
そこで,「お仕事発見!」シリーズ,第一回目は,私たち「教科書編集者」の仕事をご紹介します。
まずは,編集部のある一日を追ってみました。


*編集部のある一日(社会科)
10:00ごろ 出社。まず各自担当の新聞をチェック。新技術の開発や文化物の発見,法律や国際関係,政治経済など世の中の動向を確認。教科書記載事項に変更がないかを慎重にチェックします。(@)
11:30ごろ 各自がチェックした記事を,順番に発表。チェック漏れがないか全員で確認します。チェックした記事は,コピーしてスクラップ。(A)
12:00ごろ 昼食
13:00ごろ 担当している本の原稿を,著者の先生のところに取りに行ったり,いただいた原稿を整理したりします。(BCD)
14:00ごろ 社会部内ミーティング。誰がどのような仕事をしていて,進行具合は順調か,などをお互いに報告しあったり,新しい企画についての話し合いをしたりします。
16:30ごろ 著者の先生方との編集会議に向けて,会議室のセッティングをし,配布資料等を準備する。著者の先生方がぞくぞくと集まってくる。
17:00 編集会議開始。
19:30 会議終了。後片付けをして退社。著者の先生方と一緒に夕食をとりながら情報交換。

@朝一番の仕事,新聞の読み合わせ。 A重要な記事はテーマ別にスクラップ。 B手書きの原稿をパソコンで整理。 C著者の先生にお電話し,進行状況を確認。 D机の上は資料や原稿でいっぱい。

「ある一日」を見ると一目瞭然ですが,教科書編集者は,机の前で一生懸命原稿を書くということは,ほとんどありません。実際に教科書を執筆しているのは,専門家である大学の先生や,現場で教えている学校の先生です。
では,教科書編集者は,いったい何をしているのでしょうか。
教科書の概要(何ページの教科書にするか・どんな教科書にするかという方針など)を決め,その概要を執筆される先生方に伝えます。そして実際に書かれた原稿が,その概要に沿っているかどうかを読んで確認するのが大きな仕事の一つです。また,先生方が執筆する際に必要となる資料や,学習に効果的だと思われる写真を探したりもします。
教科書編集者をひと言であらわすとしたら,「教科書のプロデューサー」でしょうか。
なんとなく仕事の雰囲気は感じていただけましたか?


*「どうやったら教科書編集者になれるの?」
教科書をつくっている出版社に入社して,教科書編集部に配属されることが必要です。教科書の出版社は数えるほどしかありませんので,調べやすいと思います。小学校の教科書,中学校の教科書,高等学校の教科書によって,出版社は異なりますし,科目によっても異なりますので,どの出版社がどういう教科書を出しているか,事前に知っておくとよいでしょう。
採用ルートとしては,新卒者採用のほかに,アルバイトで入社しその後正社員として採用されるケースや,中途採用,契約社員と,実に幅広くあります。
また,必要な資格というのも特にはありません。先ほども紹介しましたように,教科書は,専門家である大学の先生や,現場で教えていらっしゃる先生などが中心になって執筆されます。編集者は,その原稿を取りまとめるのが主な仕事ですので,高度な専門知識がはじめから必要とされることはありません。


*「どうしてこの仕事をしようと思ったの?」 編集部内でヒアリングをおこなってみました。
・とにかく,本をつくる仕事に就きたかった。(この意見が多数派のようです)
・「教科書」というものに特別な響きを感じ,愛着があったから。
・知的な職業だと思ったから。
・脱フリーターをめざしていた時に求人を見つけ,これは運命の仕事に違いないと思った。

など,理由は本当にさまざまでした。
入社のきっかけは何にしろ,今の仕事は「楽しい」とやりがいを感じている人は多かったです!!


*教科書編集者のまわりの人びと
教科書をつくるには,次のような方と一緒に仕事をやっていきます。
著者・・・教科書を実際に書く人です。大学の先生をはじめとした専門の方が書きます。
校正者・・・文字や内容に誤りがないかをチェックします。
印刷会社・・・原稿を印刷して,実際の本に仕上げます。
デザイナー・・・表紙や文中の小見出し・表・グラフなど,一冊を通して「見やすい」デザインに整えます。
イラストレーター・・・挿絵を描きます。
フォトエージェント・・・教科書に載っている写真は,ここから借りることが多いです。
文部科学省入口文部科学省・・・できた教科書が指導要領に則しているかどうか検定をします。

一冊の教科書ができあがるまでに,実に多くの人の手がかかっているのですね。

補足:教科書ができてからみなさんの手元にとどくまでに,どれくらいの時間がかかっているのでしょうか?
来年度(平成15年度)用を例に挙げてみましょう。


1999(平成11)年2000(平成12)年2001(平成13)年2002(平成14)年2003(平成15)年
執筆・編集作業春・文部科学省検定提出    冬・検定結果通知春・採用営業 夏・採用決定春・使用開始!

ナント!3年も前からつくり始めた教科書が,ようやく来年度春から使用開始となります。
書いた時は最新の情報でも,使い始めた時には既に過去の情報になっていた・・・というようにならないように,できるだけ見直し・改定を重ね,最新の情報を提供できるように,編集部は常に注意しています。

以上,「お仕事発見!」シリーズ第一回目の教科書編集者でした。
第二回目以降もお楽しみに!

《参考図書》

「マスコミ就職読本」(創出版)
「マスコミ就職塾」(ゴマブックス)
「編集者になるには」(ペリカン社)



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