400q >>> 宇宙ステーション




 NASAは7月26日,燃料センサーの異常により延期されていたスペースシャトルディスカバリー号の打ち上げに成功した。日本人宇宙飛行士野口聡一さんを含む乗組員7名を乗せたディスカバリー号は,28日には上空およそ400qを周回する国際宇宙ステーション(ISS)へのドッキングにも成功。野口さんら乗組員は,ディスカバリー号の補修を含む船外活動等をおこない,8月9日,無事地上に帰還した……が,今回のテーマはスペースシャトルでも野口さんでもなく,宇宙ステーション。まるでSF映画のような宇宙ステーションが,しかも人を乗せて地球の周りを回っていたなんて,あなた,ご存じでしたか?

★国際宇宙ステーション(ISS)って何?
 1984年,アメリカのレーガン大統領は,宇宙で人間が生活できる宇宙基地を国際協力のもとで10年以内に建設すると発表し,先進諸国に参加を呼びかけた。これに応じて,85年にヨーロッパの国々とカナダ,日本が参加を表明,1993年にはそれまで独自の宇宙開発をめざしていたロシアが参加を決定した。その後,スウェーデン,スイスも加わって,15か国が参加する地球規模の大きなプロジェクトとなった。
 参加各国は,分担でステーションの各パーツを開発し,それをスペースシャトルやロシアのロケットで打ち上げて,宇宙空間で組み立てる計画となっており,1998年に最初のパーツが打ち上げられて建設が始まった。現在,すでにサッカー場に匹敵するぐらいの大きさになっている。このISSは高度330q〜480qの円軌道を,90分で地球を1周するスピードで周回している。完成は2010年の予定となっている。

★日本はどんな役割を果たしているの?
 日本で実質的に計画を推進しているのは,宇宙航空研究開発機構(JAXA)である。日本の分担は,実験棟の開発である。「きぼう」と名付けられた日本の実験棟は,現在,筑波宇宙センターにある宇宙ステーション総合センターで開発しており,2007年に打ち上げられる予定となっている。またJAXAは,宇宙飛行士の育成もおこなっており,これまでに,初めてスペースシャトルに搭乗した毛利衛さんや今回ディスカバリー号に搭乗した野口さんらを含めて,男性6名,女性2名,計8名の宇宙飛行士を育てている。

★ISSにはいつから宇宙飛行士が常駐しているの?
 2000年10月30日,アメリカ人1名とロシア人2名,計3名の宇宙飛行士を乗せたロシアの宇宙船ソユーズが打ち上げられた。ロケットは同年11月2日にISSに到着,3人はISSに乗り込み,初の長期滞在を始めた。この第1次クルーは140日間ISSに滞在した。その後,3〜6か月ごとに交代しながらこれまでに11回,飛行士が送り込まれている。現在常駐している飛行士は11次長期滞在クルーで,アメリカ人1名とロシア人1名の計2名(2003年から常駐は2名となった)である。彼らは9月まで滞在することになっている。

★今までにも宇宙ステーションはあったの?
 あのアポロ11号による月面着陸が1969年のこと。月面着陸競争で遅れをとった旧ソ連は,1971年に世界初の宇宙ステーション,サリュートを打ち上げた。以後82年までに7つのサリュートを打ち上げ,軍事利用も含めて,有人による様々な実験をおこなっている。サリュートとの行き来にはソユーズが使われた。ソユーズは旧ソ連時代からロシアの宇宙船に伝統的につけられている名称で,現在でも国際宇宙ステーションとの行き来に使われている。
 一方アメリカは,アポロ計画後,財政難から宇宙開発への予算が大幅に縮小されるなかで,73年にスカイラブ計画という宇宙ステーション計画を実施。この年,4つのスカイラブを打ち上げ,長期滞在による実験をおこなった。スカイラブは,スペースシャトル計画でも利用される予定だったが,スペースシャトルの開発が大幅に遅れたため,1979年に落下,消滅した。
 さて,サリュートに続く旧ソ連の新しい宇宙ステーションが「ミール」である。87年に打ち上げられたサービスモジュール(居住室)に,その後いくつかの実験モジュールが接続され,8年後の95年にミールは完成する。この間,ロシアのみならず各国の宇宙飛行士がミールに滞在した。90年12月には,初の日本人宇宙飛行士秋山豊寛さんが搭乗して話題になった。しかし,国際宇宙ステーション(ISS)計画が実行に移されると,ロシアは98年にISSのコア・モジュールの開発・打ち上げをおこない,ロシアの宇宙開発計画もミールからISSへとその軸足が移された。ロシアは2000年にミールの運用を断念し,2001年2月にミールは南太平洋に落下させられてその使命を終えたが,現在のISSには,ロシアがミールで培った技術と経験が随所に反映されている。

★国際宇宙ステーション(ISS)計画は今後どう進展していくの?
 先にもふれたが,2010年の完成をめざしている。その間には,日本の実験棟「きぼう」の建設も予定されている。ただし,ISSを建設するためには,飛行士や物資を輸送するスペースシャトルが不可欠である。ところがスペースシャトル計画は,チャレンジャー号・コロンビア号の2回の爆発事故で大きく頓挫し,大幅な見直しを余儀なくされている。今回のディスカバリー号も,無事帰還はしたものの,緊迫の連続であった。年内に予定されていた次期打ち上げも凍結されている。米国内でのスペースシャトル計画に対する支持率も下がっており,スペースシャトル計画の動向いかんによっては,ISS計画の見直しという事態にもなりかねない状況にある。

◆リンク◆
*宇宙航空研究開発機構(JAXA)
*JAXAキッズ

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