政治

◆総合経済対策

 橋本首相は4月9日、首相官邸で記者会見し、98,99年にわたって新たに合計4兆円を超える、所得税などの大幅減税を実施する考えを明らかにした。政府が今月下旬に打ち出す総合経済対策では、新社会資本整備などの公共事業とあわせた財政支出が、過去最大の10兆円規模になるとした。また、赤字国債の発行制限などを定めた財政構造改革法を今国会で改正する方針も明らかにするなど、首相の経済運営の路線転換が鮮明になった。 24日には、政府が経済対策閣僚会議と臨時閣議を開き、総事業費16兆6500億円にのぼる過去最大の総合経済対策を決定した。減税については、特別減税と政策減税で4兆3000億円とし、法人課税の税率を3年以内に国際水準に引き下げることや、所得税の恒久減税の可能性を含めて検討する方針である。また公共投資については、「環境・新エネルギー」「情報通信高度化・科学技術振興」「福祉・医療・教育」の3分野に3兆6000億円など、国と地方をあわせて7兆7000億円とした。

 政府のこのような方針に対し野党側は、「財政改革の目標年次延長という、政策の骨格部分を改変せざるを得なくなった点について、橋本首相の責任は重い」との認識で一致しているものの、財政改革法に対する評価や対応はそろっておらず、内閣不信任案についても足並みはそろっていない。

◆日ロ首脳会談

 4月18〜19日、ロシアのエリツィン大統領が来日し、静岡県伊東市川奈のホテルで、橋本首相と約1時間半会談した。首脳会談での主な合意点は以下の通り

○北方領土・平和条約について(4月のテーマ参照)
(1) 条約は東京宣言に基づいて、四島の帰属問題を解決することを内容とし、21世紀に向けて日ロの友好協力に関する原則などを盛り込む。
(2) クラスノヤルスク合意の前進と、そのための作業の加速をはかる。
(3) 平和条約締結問題合同委員会の次官級分科会を5月にも開催する。

○対ロシア投資について
日ロ共同の投資会社設立を検討。5月4日、モスクワで初会合。
○四島交流について
ビザなし交流の対象者に学術、文化などの分野の専門家を加える。4島へのディーゼル発電機の供与も検討する。

○安保対話・協力について
夏川統幕議長がロシアを、ロシアのクワシニン参謀総長が日本をそれぞれ訪問。自衛隊とロシア軍が今年の夏、日本海北部で捜索・救難活動の共同訓練を実施する。

○環境について
5月19日から21日まで、サハリン沖で油流出事故を想定した、日米露の合同油防除訓練を実施する。

 今後、秋には橋本首相がロシア訪問、さらに来春にはエリツィン大統領が再来日し、条約締結を進めていく予定。

◆北アイルランド和平合意

 4月10日(日本時間の11日)、英国・北アイルランド和平交渉が合意に達した。和平案の骨子は以下の通り。

(1) 比例代表制による北アイルランド地方議会(定数108)を設置、この議会が同地方の行政を担う。

(2) 北アイルランド地方議会とアイルランド共和国議会の代表で構成する「南北評議会」を設置、国境を超えた様々な問題に協力して取り組む。

(3) 英国とアイルランド共和国の両政府と北アイルランド地方議会及びスコットランドとウェールズの両地方議会の代表で「協議会」を発足させる。

(4) アイルランド共和国は北アイルランド領有を明記した憲法を修正する。

(5) 和平合意は、北アイルランドの住民投票、アイルランド共和国の国民投票で賛否を問う。

 5月23日にはアイルランドでは国民投票、北アイルランドでは住民投票が行われ、アイルランドでは賛成94.56%(41投票区中29投票区分、投票率55%)、北アイルランドでは賛成71.12%(最終集計、投票率81%)で承認された。これにより、過激派は2年以内に武装解除し、服役メンバーは釈放される。また、北アイルランドの英国帰属は当面継続される。

◆ポル・ポト氏死去

 カンボジアの反政府勢力ポル・ポト派の最高実力者のポル・ポト(本名サロト・サル)氏の死去が16日、タイ国軍によって確認された。ポト氏は1925年生まれの73歳とされる。ポト氏は1967年頃、クメール・ルージュと呼ばれる反政府武装組織を結成、1976年1月には政権を掌握し「民主カンプチア政府」を樹立、過激な共産化政策を実施した。1979年1月にベトナム軍の支援を受けたヘン・サムリン軍によって政権を奪われるまでの3年間に、虐殺や過酷な支配によって100万人を超える人々が犠牲になったといわれている。昨年夏に、ポル・ポト派内部のタ・モク参謀総長ら造反グループによって身柄を拘束され、人民裁判によって終身刑を受け、自宅軟禁状態であったとされている。


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桐原書店

98年6月4日