歴史

◆エジプトで世界最古の巨石群

 エジプト・ナイル川西方のサハラ砂漠のナブタにある巨石群が、6000年から6500年前に建立された世界最古のものであることがわかった。これは、有名な英国の「ストーンヘンジ」より少なくとも1000年古いことを意味する。巨石には、太陽が赤道から最も離れる黄道上の「至点」を示したものなどがあり、死、水、太陽を統合した幾何学的配列である可能性があることが、衛星写真を基にした調査でわかった。

◆済州島4・3事件から50年

 1948年4月、韓国南部・済州島の島民が、米軍軍政下での南朝鮮単独総選挙に反対して蜂起し、政府軍と衝突した「済州島4・3事件」が、発生以来50周年を迎えた。

 事件の犠牲者は数千人から数万人と推測され、背後に共産主義組織である南朝鮮労働党の関与があったことから、歴代保守政権は事件を「共産主義者によるかく乱作戦」と規定してきた。しかし、政府軍による過度の鎮圧で多数の島民が犠牲となったことは間違いなく、地元済州市では、事実関係の解明と被害者の名誉回復を求める機運が高まっている。

◆中国の日本人戦犯供述書

 1956年に中国で行われた戦犯裁判で有罪とされた日本人45人の自筆を含む供述書のコピー約1000ページ分を、中国・撫順にある戦犯管理所を通じて都内の写真ジャーナリストが入手した。日中戦争から太平洋戦争にかけての旧満州(中国東北部)での総動員態勢作りや、中国人非戦闘員に対する残虐な扱いなどを詳細に伝える資料として、研究者の関心を呼んでいる。

 このほか供述書には、罪を認めたうえでの反省の弁のほか、満州国のアヘン政策や、捕虜を銃剣で刺し殺させる初年兵教育や、「七三一部隊」に関連した細菌実験などが記述されている。供述書を書いた人は、「満州国」の高級官僚や司法官、師団長クラスを含む軍人や憲兵など各分野にわたっている。

◆旧ソ連兵4万人、朝鮮戦争に参戦

 1950年から3年間に及んだ朝鮮戦争で、当時のソ連軍が戦闘航空軍団を編成し、合わせて約4万人の兵士を参戦させていた事実が、ロシア秘密解除公文書で明らかになった。91年に崩壊したソ連政府は最後まで朝鮮戦争参戦を認めなかったが、これにより公式に戦史が塗り替えられる。

 この文書によると、スターリンは国防相に対してミグ15戦闘機装備の二個航空師団などを中国に送り込むよう命令している。派遣部隊の隊員は中国では人民解放軍の軍服に着替えるよう指示しており、スターリンが第三次大戦に発展することを恐れ、ソ連参戦の証拠を握られないよう細心の注意をしていたようすがうかがわれる。

◆仏パポン元予算相に禁固刑

 ビシー政府のジロンド県総務局長としてユダヤ人の強制収容所移送の職務に従事したモーリス・パポン被告に対する裁判で、ボルドーの重罪裁判所は2日、「人道に反する罪」で禁固10年の判決を言い渡した。

 フランスの歴代大統領は「ビシー政府はフランスではなかった」として歴史の暗部には触れようとしなかったが、現シラク大統領が95年、当時のユダヤ人迫害について国家としての過ちを認めるなど、歴史を問い直す動きが見られるようになった。

 そのようななか、歴史家たちの間には、「パポン裁判は、ビシー時代のフランスを被告ひとりに象徴させて断罪することで、歴史に決着をつけてしまおうという傾向が強い」として、批判する声が多い。

◆奈良・飛鳥池遺跡に宝飾品の工房

 奈良県明日香村飛鳥の飛鳥池遺跡(7世紀後半)から、ガラスや瑪瑙(めのう)、琥珀(こはく)などの玉類と、銀製品製作用のるつぼ、工房跡が出土した。奈良国立文化財研究所は23日、「寺の堂内や仏像を飾るための古代最大の宝飾品の官営工房と見られる。銀製品の工房としては最古」と発表した。

 工房跡からは多数のるつぼ、ふいごの羽口、ガラスや琥珀、瑪瑙、水晶の玉などが多数見つかった。大量の炭の層や鉱物のかすなど廃棄物を捨てた層も確認され、ガラス小玉が100万個単位で生産できる規模だったとみられる。

◆縄文時代に全国的なクリ栽培

 富山県小矢部市の桜町遺跡から大量に出土した約4000年前(縄文中期)のクリの実が、野生種ではなく栽培種であることが、静岡大・佐藤洋一郎助教授によるDNA分析で確認された。青森県の三内丸山遺跡から出土したクリに次ぐもので、縄文時代に広い地域でクリ栽培が行われていたことがほぼ確実になった。

 同遺跡からは大型高床建物の柱など約100本のクリ材が出土、クリ塚からは数千個の実が見つかった。佐々木高明・国立民族学博物館名誉館長は「進んだ技術と組織力がなければできないことで、『狩猟・採集生活』という縄文人イメージは捨てるべき」と話している。

◆ガンダーラ仏の盗掘相次ぐ

 ガンダーラとは一般に、パキスタン北部のペシャワル県を中心に東のタキシラ、北のスワート地方、さらにアフガニスタン東部を加えた地域を指す。この地方には、7世紀に唐僧玄奘が訪れた寺院の後や、ユネスコの世界遺産の登録されているタキシラ遺跡などもある。ここで紀元1世紀ごろクシャナ王朝の下でつくられたガンダーラ仏は仏像の起源ともされ、ギリシャ人風の彫りの深い顔とインド風の衣服・髪型などが混交しており、東西文明の交流を物語る世界的な文化遺産である。

 そのガンダーラ地方で、ガンダーラ仏が流出している。各地で盗掘が組織的に行われており、盗掘団によって出土品はブローカーに売りさばかれ、海外へ運ばれる。パキスタン政府は文化財の海外への持ち出しを禁じているが、地元のジャーナリストによると、「昔の大統領の親族など有力政治家が背後に介在し、税関当局に圧力をかけたり、わいろを渡して目こぼししてもらったりする例もある」という。

 「ガンダーラの出土品を求める、買い手の存在が遺跡の破壊を加速している。日本も世界的遺産の保護に積極的に貢献すべきだ」と西川幸治・京大名誉教授は話している。


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桐原書店

98年6月4日