経済

◆大手19行、総額10兆円超の不良債権処理

 大手銀行19行が98年3月期に総額で過去最大規模の10兆円を超える不良債権を処理することが3月31日、明らかになった。3月期の不良債権処理額は東京三菱、さくら、富士の3行で1兆円を超し、大手19行では10兆2190億円に上った。97年3月期の大手銀行の処理額は約6兆700億円(北海道拓殖銀行を含む)だった。この結果、都市銀行は全行が経常赤字になる。

 銀行は、19行中5行で、不良債権処理の原資となる株式含み益が消えるなど、体力を消耗しているが、16行で株式評価方法で評価損を計上しない原価法を選択したことから、株式償却の必要がなくなり、不良債権処理に余力が生じた。また、公的資金投入により、自己資本に余裕ができたことも不良債権の前倒し処理に踏み切る要因となった。

 また、自己資本比率は国際決済銀行(BIS)基準を採用する18行全行が規制の8%を上回った。  しかし、3月期に不良債権処理に踏み切っても、景気停滞で企業倒産が急増しており、アジア経済の悪化もあって、銀行の不良債権が今後さらに膨らむとの懸念もある。

◆全日空スト

 全日空のパイロットや航空機関士らでつくる乗員組合は、4月から導入された新賃金体系の撤廃を求めて、6日午前零時から、国際線の一部の便でストライキに入った。組合側は国際線の「B747-400型機」の乗務を無期限で拒否すると通告した。

 同社は3月期決算で、32億円の当期赤字の見込みで、30年ぶりに無配に転落。その3月期決算も、航空機4機を売却するなどして、営業外収益を47億円計上したうえでのもので、乗客減少や運賃割引競争で売り上げ増加も難しく、コスト削減しかない状態という(同社)。

 パイロットらの賃金はこれまで実際の乗務時間にかかわらず、月額65時間分の乗務手当が保証されていた。現在、実際の乗務時間は50時間程度。会社側は今回の新賃金体系で、乗務の実態に合ったものに変更したうえで能力給を導入する。これに対し組合側は「均一の運航が求められるパイロットに能力給はそぐわない」と反対している。

 異例の長期戦となった全日空ストは、3週目に入った20日、大型連休を前に一時中断となったが、会社側は譲歩する姿勢を見せず、乗員の賃金制度改定を不退転で進める方針。組合側は5月5日以降、会社側の対応を見てストを再開するかどうかを決めるとしている。

◆セルフスタンド開店

 政府の規制緩和を受けて、4月にセルフ方式のガソリンスタンドが解禁されたが、低価格を売り物にセルフスタンドが全国で次々と営業を始めている。客層は若い人を中心に主婦や中高年の男性まで幅広く、販売量も順調に伸びているという。ガソリン価格も周辺店に比べて1リットル当たり4−6円も安い価格を掲げているところもある。これに対し、一部の地域では、周辺店の業者が過剰反応して値下げに踏み切るケースも出ている。このため、安売り競争に拍車がかかる可能性が高まっている。

◆失業率最悪

 3月の完全失業率が3.9%と、1953年の調査開始以来、過去最悪の水準になった。この失業率を欧米と比較すると、景気拡大で失業率が減少傾向にあるアメリカと比べても、日本の水準は低い。しかし、日米で失業者の定義が違うため、日本の失業率をアメリカ基準に合わせると、アメリカの4.7%を上回る可能性もある。

 失業率増加の背景には、景気の悪化を受けて、製造業や建設業を中心に社員を大幅に削減する動きが広がっているうえ、新卒者の採用を抑制したり、定年退職者の再就職が難しくなっていることなどがある。企業はこれまでのように「過剰雇用」を抱え込む余裕がなくなっており、今後も失業率の急速な改善は望めないとの見方が強い。

 一方、「自発的な失業者数」も昨年同月に比べ15万人増加した。これは、もっといい職場を求めて仕事を辞める人が増えているためである。若者を中心に、ひとつの企業に定年まで勤めるという意識が薄れ、転職への抵抗が少なくなっており、終身雇用を柱とする日本型雇用システム自体が大きく揺らぎ始め、欧米並みの高い失業率へ移行しつつあるとの指摘も出ている。

◆金融業界のM&A(企業合併・買収)

 米銀行持ち株会社シティコープと米大手金融サービス会社トラベラーズ・グループは6日、今秋に合併すると発表した。これにより株式時価総額で1400億ドルと世界最大の総合金融機関が誕生する。

 全米3位の銀行持ち株会社ネーションズバンクと、同5位のバンカメリカは13日、今年第4・四半期をめどに合併すると正式に発表した。合併後の総資産は全米第2位、銀行業務に限った資産では全米最大の規模となる。

 全米8位の銀行持ち株会社バンクワンと同9位のファースト・シカゴNBDも13日、合併することで合意したと発表した。合併後の資産総額は全米5位、中部では最大の地域銀行となる。

 米国の大手保険持ち株会社AIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が17日、破たんした旧日産生命保険の契約を引き継いだ「あおば生命保険」の買収を表明した。買収が実現すれば外資系保険会社が日本の生保を傘下に収める初めてのケースになる。

 通産省は戦略的な企業再編を促すため、M&Aの促進策をまとめた。買収コストを軽減するため、少数株主から株式を市場外で取得する際に義務付けている公開買い付け規制を緩和する。買収価格を判定するための企業評価手法の確立にも取り組む。


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桐原書店

98年6月4日