7とが重要である。教師は頭ごなしに英語の誤りを指摘するばかりではなく,まずは生徒が発信した内容を受け止め,内容に関するコメントを返したり,コミュニケーションを阻害しない程度の暗示的なフィードバックを返したりすることで,生徒がコミュニケーションをしている実感を持つことができ,さらなるラポール形成が可能になると考えられる。いずれにしても生徒が授業で英語を使うことが当然であり,また誤った英語を使うことに対する不安感を少しでも和らげ,積極的に英語を用いて言語活動を行うことができる環境を整えることが重要である。本教科書の言語活動にはまず目標が設定されており,ある場面,状況の中で,各生徒に求められていることが指示されている。もし教師がそれらの事項を一気に説明して指示を出すとなると,多くの場合生徒は混乱してしまう。それを防ぐため,特に英語で指示や説明を行う場合には,教師の1回の発言をできる限り短く簡潔にすることが重要である。また,いくら短く簡潔な説明をしたとしても,実際に活動の指示を行ってみると生徒に理解させることが難しいことも多い。そのような場合に備え,いくつかの異なる説明の仕方を実際の生徒の反応をイメージしながら準備しておきたい。説明の際にスライドを利用したり,部分的に日本語を用いたりするなどの方法で指示や説明を補うことも考えられるだろう。また,教師は活動の指示を与えるだけでなく,生徒が今まで気づかなかった視点に気づかせ,内容について深く理解するためのきっかけを与えることも重要であるため,指示文を読み上げるだけで終わりにすることなく,実際の生徒の反応を確かめながら必要な事項を補足するようにしたい。3,4人のグループを作る際にも,座席の位置に応じてABCD(あるいは番号等)を割り4-2. 事前準備1:活動の説明・指示本教科書では,生徒が情報や自分自身の考えなどを英語で適切に表現したり,伝え合ったりすることを身につけられるようにするため,目的や場面,状況に応じた効果的な表現を学習し,それらを繰り返し活用する機会を充実させている。それらの言語活動が成功するかどうかは,活動を通して身につけさせたい資質や能力などの目標や,活動の目的・場面・状況といった内容を,生徒自身が正確に理解していることが鍵となる。そのため教師は,実際の活動を行う前に活動内容の指示方法を十分に考えておく必要があり,その際に重要となることは,短く簡潔な指示を準備しておくことである。4-3. 事前準備2:活動形態(ペアやグループの作り方)教師はどのような形態で生徒が活動を行うか,どのように生徒を動かすかということをイメージして準備を行っておきたい。同じペアワークと言っても,どのような活動をするか,その後ペアを替えて同じ活動をするかなどによって,ペアの組み方は異なってくるだろう。例えば教科書のSpeak Againのタスクでは,その前に行うSpeakからの伸びを実感させるため,あえて同じペアで活動を継続することが考えられる。しかし,各Unitのはじめに行うSmall Talkでは,導入活動としてさまざまなアイデアを共有することが有効であるため,ペアで活動を行い,その後何度かパートナーを替えて同じ活動をしてもよいだろう。
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