6本教科書では,すべてのUnitがペアでやり取りを行う活動であるSmall Talkから始まり,身の回りの内容について話しながら少しずつ足場を整えていき,徐々に社会的な内容について話したり書いたりしていくことができるよう,生徒にとって無理のない流れで活動を設計している。必ずしも毎時間の授業が本教科書のSmall Talkの場面で始まるわけではないが,授業で行う活動内容に照らし合わせ事前に内容をインプットしたり,長期的に見て育てたい力をつけるための帯活動として行ったりするには,Small Talkは扱いやすい活動である。そのため,本教科書の冒頭に示されている問いかけ以外にも,そのUnitで扱うトピックに関連した多様な問いを教師が準備しておくことで,毎時間の導入活動としてSmall Talkを実施することができる。また,そのほかにも帯活動として,つけたい力に応じてさまざまな形態の言語活動を用いるなどして,授業では英語を使うことが当たり前である環境を整えていきたい。すべての言語活動を効果的に行うには,生徒どうし,および生徒と教師間の信頼関係(ラポール)を構築することが何よりも大切である。教科書のSmall Talkは,生徒どうしが対話を継続し,生徒が互いに共感的に話に参加する基盤を作ることを意図して設定している。また,教師と生徒間のラポールを構築するためには,普段のタスク活動の場面で生徒が発言したり書いたりした内容について,必ず受け止めてもらえるという意識を生徒に持たせるこ2)ライティング活動重視型UnitのSpeakはブレインストーミング活動としてSpeak Againを行わずに,ライティング活動への足場がけと位置づけ,Small TalkやListenも軽めの扱いとする。その分Writeの段階的なライティング指導に時間を割く。より習熟を図りたいパラグラフの型については,Unit 6〜10の末に示されているように,複数段落のエッセイへと発展させてもよい。また,Extra Writingにも積極的に取り組む。パラグラフの型は指導の目的に応じて省くこともできるが,説明・描写をする力や原因・結果について論じる力といったそれぞれで培われる力は,意見文を展開するうえでも重要な力であり,相互に関連づけながら多様な型を学ぶことが望ましい。教科書の冒頭のページでは,「子育てとまちづくり」のテーマのもとで,それぞれの型における支持文の展開方法を示しているが,同様に同一のトピックでパラグラフの型を変えて書かせてみることもできるだろう。また,Thinking Logicallyの課では,原因・結果型から問題解決型へとパラグラフの型をまたいだ複数段落への展開の仕方についても示しており,型を意識して自由に展開できるようになることが最終的な目的となる。4-1. 環境作り日頃から生徒の英語による言語活動が中心となるように授業を組み立てていなければ,いざ言語活動を行おうと思っても実践することは難しい。授業の開始時には,生徒が安心し,また楽しみながら英語を使うことができるウォームアップとしての言語活動を行い,これから英語を使う授業が始まるという意識を持たせて,英語を使うことが自然となるような環境作りを行うことが必要である。4. 活動前の準備・留意点
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