22スピーキング評価ルーブリック」に記載されている5つの評価観点を用いるが,このうち,「談話展開」が「思考・判断・表現」,ほかの4つの観点が「知識・技能」と主に関連している。スピーチやプレゼンテーションのもととなる原稿に基づいて,ライティング評価として「表現内容」「談話展開」「正確さ」の評価を行い,発表時には「流暢さ」と「発音」の評価を行うことで評価の観点を絞り込むこともできる。こうした言語面からの評価のほか,ノンバーバルな側面も含めた発表の技能の評価として,スピーチやプレゼンテーションに関しては,教科書の紙面にも示されている「声の調子」「表現力」「姿勢」「表情」をタスク達成の条件として定めて評価を行うこともできるだろう。紙面ではピア評価を行う際に,簡易的に①内容・構成,②発音,③声の調子・表現力,④姿勢・表情の項目を3段階の主観的な評価で示しているが,パフォーマンス評価として行う場合には,①と②についてはCEFRに準拠したルーブリックを用いて質的に評価することで,形成的なフィードバックを与えることができ,学習や指導の見通しを立てるための助けになる。また,よりフォーマルなスピーチやプレゼンテーションであれば,条件Eのような「質疑への応答」や「資料提示の工夫」といった観点を付け加えることもできる。ディスカッション(Unit 3)やディベート(Unit 6)が設けられているUnitに関しても同様に,言語面の評価に加えて,タスク達成の基準として,それぞれの活動の性質に応じて以下のような基準を立てることもできるだろう。CEFR評価B1+流暢さ発音評価タスク達成 条件 A[1] B[1] C[1] D[1] E[1]自然な言い直しや言い換えで,比較的一定のペースで発話を続けることができる。母語の影響のあまりない自然なイントネーション等で個々の音も正確に理解できる。条件A:声の調子(大きな声ではっきりゆっくり話す)[1] 条件B:表現力(強弱をつけて聴衆にメッセージを伝える)[1] 条件C:姿勢・ジェスチャー(姿勢を意識し,身振り手振りを効果的に交える)[1] 条件D:表情・目線など(表情を意識し,聴衆全体に目を配る)[1] 条件E(speech):質疑への応答(質問に対して的確に応答する)[1]条件E(presentation):資料提示の工夫(視覚資料を用いて説明をわかりやすくする)[1]途中での言い直しや言い換えはあるが,発話を比較的長く続けることができる。時折間違いもあるが,おおむね適切なイントネーションで明瞭に理解できる。※基準Cの記載内容に満たない場合のCEFRレベルはA1以下とみなす。B1A☆[4-5]不自然な間や言い直しが時折見られるが,発話を続けることができる。繰り返しを求められることもあるが,大体の場合理解できる程度にはっきりしている。A2+SBSABC◎[3]○[2]間や言い直しが顕著で,切れ目が不自然なこともあるが,発話を続けることができる。理解をするのに努力を要することがあるが,多くの場合理解できる。A2C△[0-1]
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