14てから活動へと移りたい(Speakの本コーナーではQRコードから音声を確認することができる)。また,教科書に記載されている表現以外にも,生徒の実態に応じて教師の判断により適宜内容を追加することはできるが,これはfor thinkingとして生徒の発想を促すことを目的として行うものであり,語彙や表現をインプットし,暗記させることが主眼とならないように注意しておきたい。あくまでも最低限必要な表現に絞って支援を与えることが重要である。実際のコミュニケーションの場面ではすべての語彙や表現をインプットしてから会話を始めることはなく,表現できないことがその都度たくさん出てくることが普通である。その際には自分が表現できる方法に言い換えて内容を伝えたり,相手に助けてもらったりしながら意思疎通を図ることが必要となるため,教師はそのような点も指摘しながら生徒に活動へと臨ませたい。また,各Unitで扱うトピックによっては,生徒にとってなじみが薄いことも考えられる。トピックに関する背景知識があまりに不足している場合には,思考を深める効果的な議論を行うことは難しいため,議論を行う前にBackground Information for Thinkingの内容を確認させ,背景知識を活性化させてから議論に臨むことが効果的である。ここは教科書の文字情報だけではなく,指導用データDVD-ROMに教科書とほぼ同内容の情報を伝える英語動画も準備してあるので,その動画を視聴することで背景知識を確認することもできる。トピックに関する生徒の知識の保有状況に応じて,事前にどの程度の支援が必要かを見極め,効果的な議論を行うことを目的として活用してほしい。支援の程度という観点としては,「論理・表現Ⅰ」では「多くの支援を活用すれば」,「論理・表現Ⅱ」においては「一定の支援を活用すれば」という条件が与えられていた。しかし,生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上に従って,それらの前提条件は少なくなってくることから,「論理・表現Ⅲ」では「支援をほとんど活用しなくても」という条件となっている。ただし目の前の学習者の状況や扱う話題によっては,ⅠやⅡと同様に支援が必要となる場面も想定されるが,そのような場面においても教師は一方的に支援を生徒に与えるのではなく,それぞれの生徒が自分にとって必要な事柄を判断し,主体的に事前の準備を行うなどして,自律的な学習者となっていくことを目指すように心掛けていきたい。また,本教科書は幅広い学習者層を想定しているため,掲載されているすべての活動を扱うのではなく,活動そのものや条件を取捨選択することにより足場の調整を図ることも可能である。FACTBOOK IIIのSpeakで行うタスク活動では,IおよびIIよりも,さらに自由度の高いやり取りとなる。生徒の話す話題があまりにも幅広くなってしまうようなことが事前に予想される場合は,ポイントを少し絞るなどして,議論の方向性を示しておくことも効果的だろう。いずれにしても,次のWriteの活動に円滑につながるようなSpeakの活動内容となるように注意しておきたい。6-4. 活動中の留意点実際に活動が始まったら,教師は生徒の活動を観察し,言語活動が適切に行われているか確認する。もし多くの生徒が状況や情報を理解できていないことが原因で活動の進行に苦労している様子であれば,早い段階で全体の活動を止めて,もう一度活動前に理解しておかな
元のページ ../index.html#14