13予想されるが,まずは生徒自身が何をどのように表現するかを考え,一連の流れを通じて最終的に目標を達成することができるようにしてほしい。そのため,言語面や内容面に関するすべての指導を先に行い,その確認としてタスクを行うことは避けておきたいが,タスクの設定自体があまりにも生徒の手の届かないところにある場合,生徒が活動に対する意欲をまったく失ってしまうことも考えられるため,教師はタスク自体のレベルと生徒の実態を見極め,さまざまな支援を通じて最終的に生徒が目標を達成できるように導くことに注意しておく必要がある。以下では活動の各段階での詳細について確認する。目標についてはCan-Doの形式で示されているのでその内容を確認し,状況・目的については英文で示されている箇所を読んで確認する。その後,教科書にはより詳細な情報がイラストや写真,グラフ,表などの形で示されているが,ここは生徒が各自で目にしただけでは理解しづらいところもあるだろう。そのため,教師がクラス全体に質問を投げかけ,生徒とやり取りをしながら内容を確認していく方法も有効である。例えばUnit 1(教科書p.16)であればAIに関連する業務の写真やイラストが示されているが,ここでは教師が“AI technology has been developing rapidly in recent years. How is AI used today?”などの質問を与え,生徒の答えを引き出しながら,クラス全体で写真やイラストの内容を確認していくことができる。しかし先述したように,この後に行われるタスクでは生徒が自分自身で表現方法や内容を考えながら説明するため,ここでの確認は最小限の情報に留めておきたい。生徒が効果的な議論を行うためには,事前にこれらの内容を確実に理解していることが必須である。いざ活動が始まってから,生徒がどのような内容について議論をすればよいか教師に確認することがないようにしておきたい。6-2. 目標・状況・目的の確認タスクを開始する前には,活動の目標,状況設定,目的を生徒が正確に理解しておくことが必要である。これらはすべて教科書に記載されているが,例えば一定の時間を与えて生徒が各自で教科書の情報を一度に読み,その内容を的確に理解することは年度当初のUnitでは難しいだろう。年度の後半で生徒が本教科書のタスク活動に慣れてからであればそのような形も可能かもしれないが,はじめは一度にすべての情報を確認させるのではなく,目標・状況・目的について1つずつ説明し,その都度生徒の理解を確認しながら進めていくのがよいだろう。6-3. 活動前の支援Speakの活動にはある特定のトピックが設定されているが,その内容について議論を進めていくにあたり,必要になる語彙や表現があることが想定される。それらは活動を円滑に進めていくために最低限必要なものであるため,活動前の支援として生徒に与えておくことができるようにKey words and expressions for thinkingの項目にまとめている。これらの表現については意味を理解するだけでなく,活動内で実際に使えるように発音等も練習し
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