34に入れる文だけに注目させるのではなく,全体として3文程度で自身の意見を伝えるためには,どのような構成で文章を書くことが効果的かなどの気づきを与え,自身の意見を書く際の参考とさせることも行っておきたい。生徒が自分自身のコメントを書く際には,2つのコメントの内容を参考にしつつも多様な意見が出てくることが考えられるが,ここでは最初のコメント投稿者から問いかけられていることに,簡潔に答えることが必要である。ウェブ掲示板という特性からも,自分の意見を長々と述べるのではなく,意見とそれを支える理由,説明や具体例を示しながら,それらを簡潔にまとめることに注意させる必要があるだろう。また,自身の意見がなかなか出ない場合には,2つのコメントのどちらかに賛同するかたちで,同じアイデアを用いながら自分の表現でまとめてみるなど,3文程度の意見文であれば,あまり多くの準備時間を設けなくても即興的に書くことができるようにもつなげていきたい。また,生徒どうしで振り返る活動だけでは,この時点で書いたものが最低限満たしていなければならない点などを生徒が把握することは難しいため,教師側からはその点について指摘し,生徒に振り返りを行わせたい。例えばUnit 2では飢餓支援の有効な方法を提案することがタスクとして示されているため,生徒が書いた文の構成としては,まず何らかの提案がなされ,続いてそのことの内容を説明したり,よい点を補足したりするなどして,その提案をアピールする内容となっているはずである。 これらはこの時点で確実に満たしていなければならない点であり,これらの要素が欠けていると次の活動へと移ることが難しくなるため,この時点で振り返りを行ったうえで,必要があれば文章の修正を行わせておくとよいだろう。生徒どうし及び教師側からの働きかけによって,生徒自身が気づき自ら修正を図っていくことができるような振り返りの活動を行っておきたい。9-5. Write:活動の振り返りFACTBOOK Iと異なり,本教科書ではWriteで各自が意見などを書いた後,ほかの生徒とその内容を共有するための欄を特に設けてはいないが,さまざまなアイデアを共有することを通じて自分が書いた英文を修正したり,内容を確かめたりすることができるため,各自が書いた文をお互いに読み合い,その内容について振り返る場面を設けておくとよいだろう。生徒どうしで英文を読み,お互いにコメントを与え合う際には,書いた英文の語彙や文法的な正誤のみに焦点を当てるのではなく,内容的にわかりにくい点を指摘したり,内容を確かめるための質問をしたりしておくと,次の活動に移った際にさらに内容を深めて書くことができるようになるだろう。また,英文のわかりにくさだけではなく,内容が投稿のポイントからずれていないか,前のコメントと関連した内容になっているかなどの視点から内容を確認させるのもよい振り返りの活動となる。時間が取れる場合には,これらの点を踏まえながら座席の列でリレーライティングを行い,前のコメントを受けつつ自身のコメントを付け加えていく活動をすると,ウェブ掲示板上でのwritten interactionの特性を生かした活動とすることができる。これらの活動を通じ,自身が書いた内容に大きな修正が必要なことに気づいた場合は,この時点で修正を行っておくことで,次の活動へと円滑に進むことができるだろう。
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