1つ目の活動のリテリングから自分の意見を加えることを行ってはいるが,本格的に自身の意見を述べ,さらに議論の形でそのやり取りを行うというのはここが初めてになる。巻末のスキルページにはディスカッションの流れや使われる表現がまとめられているので,それらを活用することで意見の述べ方,相手の意見への反応,議論のまとめ方を工夫することができる。また,奇数Unitのディスカッション活動で身につけたスキルを活用したり,Listen Againで扱ったCommunication Strategyを試したりするなど,今までに学んできたことを実際に活用する絶好の場面である。生徒はそれらのことを知識として理解はしていても,意識していなければ実際の場面でなかなか使いこなすことはできない。ただ漫然と活動を行うのではなく,教師は生徒が活動内で求められていることを常に意識させ,生徒が実際に「できる」と感じる体験を授業の中で積み重ねながら生徒の力を育んでいきたい。FACTBOOK IIでは,奇数Unit(1,3,5,7,9)と偶数Unit(2,4,6,8,10)でWrite More 31う活動である。生徒はまず,これまでの活動で学んだ内容を踏まえ,自分が興味を持ったことや議論でどのようなことを話すかを事前にNotes for your discussionの欄にメモを取る。ここでは議論という形式であるため,相手とのやり取りによっては話す内容の方向性が変わり,必ずしも事前に考えていたことをすべて話す状況ではなくなることも十分に考えられるため,話す内容をきっちりと固めておくのではなく,アイデアとしてキーワードをまとめておく程度に留めておくとよいだろう。また,前のListen to a Discussionの場面でも単に情報を聞き取るだけではなく,自分もディスカッションに参加しているつもりになり,内容を自身に問いかけたりして,頭を働かせながら聞くといったアクティブリスニングの姿勢を促し,その際に使うメモ欄としてもよい。そのような態度を身につけることで,あえて十分な準備時間を取ることがなくても次の議論へと進んでいくことができるよう,徐々に即興性を身につけていくことができるようにも導いていきたい。実際に議論を行う際には事前に時間を設定して生徒に示しておくとよいが,教師は議論の様子を観察して適宜時間を調整する。また,教科書では“exchange your opinions(意見を交換しましょう)”という指示がされているが,実際に意見交換までに留めておくのか,あるいは最後に意見を1つにまとめるか,議論を行った後に情報共有のためにクラス全体にレポーティングを行うかなど,トピックや生徒の実態に応じて生徒が行うべきことについて具体的な指示を与えておくと,活動に取り組みやすくなるだろう。以降で書く文章のタイプが以下のように異なる。8-11. Speak Moreここまでの活動で扱ったトピックに関する議題が与えられ,それについてペアで議論を行9. Writeのタスク活動
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