FACTBOOK English Logic and Expression Ⅱ タスク指導の手引き
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3※使用する言語材料を使って生徒とやり取りするとよい。 言言語語活活動動をを通通ししてて 資資質質・・能能力力をを育育成成すするる(活動に取り組ませる前) ①目的や場面,状況などを理解させる。 ②使用する言語材料を明示しない。 ↓ 1 言語活動(1回目) ↓ 2 指導 ③内容面からの指導をする。 ④言語面からの指導をする。 ↓ 3 言語活動(2回目) 【②について】 「この表現を使って話しなさい」と指示したり,「ペアの一方はこのように質問し,もう一方はこのように答えなさい」といったやり取りのパターンを示したりするのではなく,目的や場面,状況などに応じて,「何を話す(聞く)とよいか」と「それを英語でどのように表現するか」を生徒に思考・判断させることが肝要である。このことは,「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方」を働かせる上でも必要なことである。また,言語活動前は,使用させたい言語材料を教師が自ら使って生徒とやり取りするとよい(「移行期間における指導資料について(中学校外国語科)」の「帯活動に係る指導資料」(https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1414459.htm)参照)。なお,使用する言語材料を明示しない状況で言語活動に取り組ませることの必要性は第2編で述べているとともに事例4でも示しているので参考にすること。 【③,④について】 内容面の指導は,目的や場面,状況などに応じた発話内容になっているかという点から,いずれかの生徒の発話内容を例として取り上げ,何を伝えるとより良くなるかを全員に考えさせたり,目的や場面,状況などに応じた発話をしていた生徒の発話内容を広めたりすることが考えられる。言語面の指導は,生徒の発話を取り上げるなどしながら,単語だけによる発話を文にさせること,語順の誤りを修正させること,日本語での発話を英語にさせることなどを行うことが考えられる。なお,誤りの訂正については,生徒の発話内容をまずは受け止めるという姿勢を大切にした上で,過度に正確さを言語タスク活動とは,広義には意味内容中心のコミュニケーション活動と言えるが,課題(タスク)の目的に向かって言葉を用い,それを達成しようとする点が特徴である。トピックに基づいて自由に話題を広げていく拡散的な言語活動とは異なり,特定の状況や場面において要求される課題達成の条件を満たすために,目的に向けて収束的に言語活動に取り組む。その際には特定の言語形式にはとらわれず,既有の言語知識を自発的に活用し,ときにはうまく言葉が使えないなどの言語的な挫折を味わいながらも,さまざまな言語的・非言語的な方略を駆使し,課題達成に向けて主体的に言葉を用いる。新課程においては,知識・技能も「生きる力」としての活用が求められ,言語材料の提示がない状況で用いることができるようにすることが必要となる。言い換えれば,「学習」ではなく「使用」が求められていると言えるだろう。当該の単元で与えられた言語材料をただ受け身的に用いるのではなく,生きた力として自己選択的に知識や技能を用いながら,思考し,判断し,表現するにあたっては,言語活動におけるコミュニケーションを行うための目的・場面・状況の設定が欠かせない。また,同時に相手に配慮しながら,主体的かつ自律的にコミュニケーションを図る態度面の育成も重要となる。具体的な例として,国立教育政策研究所教育課程研究センターによる『「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料』(以下,参考資料)*1の「高等学校編 外国語」では,「思考・判断・表現」の評価規準例として,「料理してみたい世界の料理について説明するために,世界の国々の食文化について書かれた説明文を読んで,概要や要点を捉えている。」(読むこと)や「外国の人に「行ってみたい」と思ってもらえるように,町や地域について,情報や考え,気持ちなどを理由とともに話して伝えている。」(話すこと[発表])が示されている(「英語コミュニケーションⅠ」の設定例,下線部は筆者)。概要や要点を理解する力や,情報や意見を伝える力といった技能面を意識した能力記述に加えて,下線部のように言語活動の目的や場面,状況等を,受容技能,産出技能を問わず,明示している。下記の図は参考資料の「中学校編 外国語」で示された図であるが,パフォーマンステストに至るまでの指導において,言語活動を通して3つの資質・能力を育成するアプローチが示されており,高校において指導と評価を一体化させるうえでも参考になる。言語活動に取り組ませるうえで1つ目の重要な点は,目的・場面・状況を示した指示文を与えるだけでなく,いかにテーマへの興味・関心を高め,自分事としてとらえさせ,個人的な関与を深めさせるかである。目的意識や相手意識を持たせ,課題達成のイメージを具体的に想起させることは,達成に向けた方略の工夫へと動機づけ,真の意味で生きた言語活動に取り組んでいる感覚を得ることにつながる。例えば,本教科書のUnit 1のSpeakでは第3編事例12. タスク活動とは

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