24Speak Againの活動では,生徒に「できる」という自信や達成感を感じさせることが何よりも重要である。ペアによってやり取りのよしあしの差は当然出るところではあるが,少なくとも目標であるCan-Doについては,全員の生徒が達成できること,また生徒自身に達成できたと感じさせることがこの活動では不可欠である。教師はそのことが可能となるように一連の活動を関連づけ,決して生徒が「結局できなかった」という感覚を持ったまま活動を終えることのないように注意したい。教師は生徒の活動をよく観察し,教科書では扱っていない表現や内容を効果的にやり取りの中で使っていることに気づいた場合には,活動後にクラス全体で共有するなどして,教科書からだけではなく,自分たちの活動自体から学ぶ経験をさせると,生徒が英語を使う意欲を高めていくことにつなげることができるだろう。指導を行った後の2回目の活動ではあるが,当然この段階でも言語面で生徒の発話内容が完璧であることは難しい。誤りの指導については,過度に正確さを求めるのではなく,まずは発話されている内容を十分に受け止め,やり取りができていることを重視しながら,少しずつ正確性を高めていくように指導を行う必要がある。ここでは聞いた内容について,教科書にある図内の空所に内容を整理して記入する。Listenで行う活動と同様に,音声を聞きながら空所補充を同時に行っていくと認知的負荷7-9. Speak Again以上の活動を経た後,最後に行うSpeak Againでは,生徒はSpeakで行った活動にもう一度取り組むこととなる。実際の活動に入る前に,もう一度1回目のSpeakで行った自身の発言を振り返り,表現できなかったことについてはUseful Expressionsを踏まえ,どのように表現するか考えさせ,発言の内容についてはModel Discussionを踏まえ,何を伝えるとやり取りがよりよくなるかを考えさせるなど,準備の時間を与えることで,生徒にとってSpeak Againに取り組むハードルを低くすることができる。どの程度の準備時間を生徒に与えるかはタスクの難易度やトピック,生徒の実態等によって異なってくるが,十分な準備時間があれば,対話を続けられるようにするだけではなく,即興的なやり取りができるようにつなげていくことも,教師は忘れないでおきたい点である。また,この活動では必ずしもModel Discussionで提示した内容を用いてやり取りを行う必要はない。参考にすることは構わないが,自分自身が使いたい表現や伝えたい内容があれば,やり取りの中で使うようにし,決してこの活動がModel Discussionの暗唱をペアで行う活動とならないように注意しておきたい。7-10. Listen to a PresentationSpeakに関する2つ目の活動の前に行うリスニングである。ここで行う活動自体はリスニングであるが,活動の目標はあるトピックについて長めの意見を述べることができるようになることであり,各Unitのトピックに関するプレゼンテーションを聞き,内容について整理したうえで新たな情報を得て,生徒が一人で長めの話をする際のモデルとするために聞く活動であり,聞くこと自体に主眼を置いたものではないことに注意しておきたい。各Unitで扱うテーマの内容を整理して理解を深めるとともに,ある程度の長さがあるまとまった内容を一人で話す際の文章構成や話し方などを確認する活動としたい。
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