FACTBOOK English Logic and Expression Ⅱ タスク指導の手引き
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21ばUnit 1では人々が抱える健康の問題や健康のためにしている習慣について議論することが教科書上の設定であるが,ここまでに留めておくのではなく,お互いが持つ情報の共有が一通り終わった後,高校生が抱えている一番大きな健康の問題を選び出し,その問題を解決するための方法を考えるなどの設定を加えることで,情報共有を行うだけではなく結論を出すところまで求める活動とすることができる。あるいは,Information Cardにある多様な世代やさまざまな社会的な立場の人の意見を参考にし,高校生の視点から視野を広げて物事を考えることで,社会が抱える一番重大な健康問題を選び出し,その解決策を考えるという設定も考えられるだろう。タスク活動を通じて育成する力の主眼をどこに置くか,活動の難易度をどの程度とするかなど,さまざまな要素を考慮して効果的なタスク活動が実施できるように教師が適切な活動を設定してほしい。ここでは以上のような視点から生徒の活動を観察する必要があるため,教師は活動中に自由に動けるようにしておくことが必要である。例えば生徒の人数が半端で,ペアを組むと1人余ってしまう場合なども,教師がその生徒の相手をしてしまうと全体の活動を観察することができなくなってしまう。その際,3人のグループを1つ作って対応する場合には,比較的高い英語力を持つ生徒が1人でRole-Aを行い,ほかの2 人は協力してRole-Bを一緒に行ったり,そのグループのためにRole-Cを設定して,もう一つ別の役割を与えて活動させたりすることも考えられる。いずれにしてもそのようなグループには活動前に十分に補足の説明をしておくことが必要となる。授業ではさまざまな事態に直面することになるが,想定できる状況については事前に活動の準備を行っておくことで,実際の場面で慌てることなく対処することができるだろう。7-5. 活動中の留意点実際に活動が始まったら,教師は生徒の活動を観察し,言語活動が適切に行われているか確認する。観察する際に,どちらの生徒がどちらのRoleを行っているかすぐに教師が把握できるよう,Aの生徒は必ず窓側に座るなどのように位置を固定したり,生徒の手元にあるワークシートにA,Bを大きく表示しておいたりするといいだろう。もし多くの生徒が状況や情報を理解できていないことが原因で活動の進行に苦労している様子であれば,早い段階で全体の活動を止めて,もう一度活動前に理解しておかなければならないことを確認させる必要がある。円滑に活動が進められていないペアが限定的であれば,個別に必要な事項を助言していけばよい。しかしながらここでは,教師は活動の途中で生徒にさまざまなことを教えすぎないように注意したい。ここは生徒にとって1回目のSpeakであり,この段階では十分に表現できないことも当然多い。言語面,内容面に関するインプットはこの活動の後に行う場面があるため,ここでの教師の役割は生徒ができないことを指摘して指導することではなく,なぜ生徒が表現できないのか,活動をしっかりと観察しその原因を明らかにしておくことである。そして,この活動後の指導の場面で,目の前の生徒たちにとって必要な内容を的確に指導することが重要である。活動中に生徒の発言を遮って誤りを指摘するなどといったことがないように気をつけたい。

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