FACTBOOK English Logic and Expression Ⅱ タスク指導の手引き
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20を円滑に進めていくために最低限必要なものであるため,活動前の支援として生徒に与えておくことができるようにKey words and expressions for thinkingの項目にまとめている。これらの表現については意味を理解するだけでなく,活動内で実際に使えるように発音等も練習してから活動へと移りたい(Speakの本コーナーではQRコードから音声を確認することができる)。また,教科書に記載されている表現以外にも,生徒の実態に応じて教師の判断により適宜内容を追加することはできるが,これはfor thinkingとして生徒の発想を促すことを目的として行うものであり,語彙や表現をインプットし,暗記させることが主眼とならないように注意しておきたい。あくまでも最低限必要な表現に絞って支援を与えることが重要である。実際のコミュニケーションの場面ではすべての語彙や表現をインプットしてから会話を始めることはなく,表現できないことがその都度たくさん出てくることが普通である。その際には自分が表現できる方法に言い換えて内容を伝えたり,相手に助けてもらったりしながら意思疎通を図ることが必要となるため,教師はそのような点も指摘しながら生徒に活動へと臨ませたい。また,効果的な議論を行うために必要な知識や表現を学ぶため,p.158のHaving a Discussionを参考にすることができる。このページでは,1つの議題について意見を出し合い,結論を出す活動がディスカッションの流れとして示されている。Speakで行うタスクの議論ではお互いが持つ情報を共有し合うことが中心となり,必ずしも結論を出すところまでいく形式とはならないが,内容がかみ合った議論とするためにはお互いが述べたことについて感想を伝えたり質問をしたりしながら議論を進めていくことが不可欠であり,自分が持つ情報をただ述べるだけの議論とならないようにするため,この点については的確に理解させておきたい。また,ディスカッションに使われる表現がまとめてあるので,生徒がこれらの表現を使うことができるようになると,議論をより円滑に進めていくことができるようになるだろう。Unitが進むにつれ,生徒がこれらの表現を自分の言葉として使うことができるようになることを目指していきたい。支援の程度という観点としては,「論理・表現Ⅰ」においては高等学校における学習に円滑に移行できるよう,言語活動においてさまざまな配慮を必要とするため,「多くの支援を活用すれば」という条件が与えられていた。しかし,生徒の英語によるコミュニケーション能力の向上に従って,それらの前提条件は少なくなってくることから,「論理・表現Ⅱ」においては「一定の支援を活用すれば」という条件となっている。目の前の学習者の状況によって,Ⅰと同様に多くの支援を与える場面も想定されるが,教師は徐々に支援の段階を減らしていったり,あえて生徒にとって挑戦的な段階を設けたりする必要があるだろう。また,本教科書は幅広い学習者層を想定しているため,掲載されているすべての活動を扱うのではなく,活動そのものや条件を取捨選択することにより足場の調整を図ることも可能である。これらにより,生徒が徐々に自分自身の力で言語活動の目標を達成できるようにしていきたい。FACTBOOK IIのSpeakで行うタスク活動では,あるトピックについて議論する形式になっており,より自由度の高いやり取りとなるが,この設定については各学校の「話すこと」における目標や生徒の実態に応じて,教師が適宜工夫して内容を加えることもできる。例え

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